第246話 エトピリカ

クジャクに憧れた。あの鮮やかで美しい姿に僕は魅了された。いいな、クジャクになりたい。


ダチョウに憧れた。僕は地面をあんなにも速く走る事ができない。いいな、ダチョウになりたい。


オウムに憧れた。僕もあんな風に人の言葉を話せたらどんなに楽しい事だろう。いいな、オウムになりたい。


僕は、どうしてエトピリカに生まれたのだろう。


生まれた意味を知りたい。

僕がこの世に生まれたその意味を。


僕は価値がある存在なのだろうか。

生きている意味は、果たしてあるのだろうか。


「君の名前はエトピリカ。アイヌ語で、くちばしの美しい鳥って意味なんだよ」


とある鳥が教えてくれた。


そうか。

僕のくちばしは、人間から見ると美しいって思われてるんだ。

それを聞いて、なんだか僕は自分に自信を持てた。


この美しい世界で僕も美しい存在になれるだろうか。


なれるさ、きっと。

だって皆、それぞれ美しいんだから。

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