第213話 桃山桃子のもー、うんざりな事件簿

私は桃山桃子。探偵。うん、そう言ってみたかっただけ。残念ながらどこにでもいる普通の主婦だ。夫とは結婚して3年になる。平和な日々を送っている。でも今日こそは、この退屈な日常がひっくり返るような大事件がきっと起きるに違いないわ。それを私がズバッと解決し、名探偵桃山桃子の物語が始まるの。今日は記念すべき序章の始まりの日よ。なんて思っていたら3年なの。夫には、君は推理小説の読みすぎだよと言われる。でもいいじゃない。こうやってあなたと出会って結婚できたのも同じ推理小説を読んだ事で意気投合したからじゃない。

洗濯をしていた。


「あら!?こ、これは!…事件の匂いね」


夫のワイシャツに口の形になった赤い跡。これは口紅ね。私以外の女がいるのね?これは事件よ。私は仕事から帰ってきた旦那に問い詰めた。


「あー、それね。お昼に食べたナポリタンが飛んだケチャップの染みさ」


もー、うんざり!!事件はないの!?

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