第197話 記憶売りませんか?
競馬で大負けした。残金は30円。来月の給料日までどうやって過ごしたらいいんだ……。友達に…いや、前借りた金も返してないから断られるだろう。はぁ……参ったなぁ……。
「お困りのようですね。今すぐお金が必要。そうですね?」
「えっ?」
「だったらあなたの記憶売りませんか?高く買いますよ」
胡散臭い男に話しかけられ、俺は薄暗いビルの地下に連れていかれた。椅子に座らされ、頭にアンテナを付けられた。
「これで脳の電気信号を読み取り、吸い取ります。他人の記憶は、とても需要がありますからね。私としても良い商売になるんですよ。どうでしょう?今日一日の記憶、3万円で買い取りますよ」
「競馬で大負けした記憶が!?3万?」
「いるんですよ。そういうマニアが」
「分からねぇな」
それから俺は、しょっちゅう記憶を買い取ってもらった。
……あれ?俺、誰だっけ?思い出せねぇ。
ついに自分の名前も忘れてしまった。
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