第158話 宝探し

今日は幼馴染の男の子と二人で宝探しに行く事になっている。山の中をひたすら歩いていき、ようやく頂上に辿り着いた頃には、夕日が出てきていた。


「わあ!!凄く綺麗!!」


その夕日の美しさに私は、感動のあまり声が出た。


「これが宝物だよ。綺麗だろ?これをお前に見せたかったんだ」

「凄いね!!」

「さあ帰ろうか」


帰り道、辺りはすっかり暗くなっていた。


「暗いから気を付けろよ」

「う、うん……」


その時だった。

急に緑色に光る物体が多数出現した。


「えっ!?何これ!?」

「蛍だよ。これが宝物だよ。綺麗だろ?これをお前に見せたかったんだ」

「凄い!!綺麗!!」


山道を下っていると、一台の軽トラが通りかかった。おじさんに乗っていくか?と言われ、荷台に乗せてもらった。


「人の親切。これが宝物だよ。綺麗だろ?これをお前に見せたかったんだ」


この世は、宝物で溢れている。そんな夏の夜だった。

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