第144話 将棋AI賢者

テレビから流れてきたのは、将棋だった。

「この将棋AI賢者は、今までの将棋の定跡をくつがえす世界最強の将棋AIです。本日は、高野丸九段と賢者の対局をお送りしたいと思います」

「おっ、高野丸九段の頭に何かケーブルが取り付けられましたね。これは何でしょうか?」

「これこそ賢者の特徴。対局中、賢者が対局者の記憶を覗く事ができるんですね」

「つまり心理的にプレッシャーをかけてくるという事ですか?」

「そういう事です。高野丸九段はどう戦うのでしょうか。先手は丸山九段です」


さあ対局が始まりました。高野丸九段、初手7六歩。賢者は8四歩。


「おっとどうした高野丸九段。いきなり苦悶の表情。そして手が震えている」

「あーー!!いきなり投了だー!!どうしたんだ、高野丸九段」

「えー、只今情報が入りました。賢者によって高野松九段の不倫スキャンダルをバラすぞという脅しがあったようです」

「怖い!怖すぎる!賢者!圧勝です!」

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