第128話 貝を探す美人

嫌なことがあると俺は、奇麗な景色を見に行ってストレス解消をする。金もかからないし、とても経済的だからだ。俺は先日、職場のクソ上司に理不尽な叱責を受けた。あー、思い出しただけで腹が立つ。俺は海を眺めてぼーっとする。青い海、白い砂浜、波の音と心地良い夏の潮風。ああ、気持ちが穏やかになっていく。落ち着いてきた。しばらく座っていると、俺の前を女の人が横切った。物凄い美人だ。彼女は、何かを探しているようだ。


「あの、何か探しているんですか?」


俺は声をかけた。


「貝を探しているんです」

「ああ。なるほど。綺麗ですもんね」

「貝はお金になるので」

「えっ?お金になるんですか?」

「はい。米や布を買います」


彼女の話を詳しく聞いていると、どうやら俺は、この世にまだ「お金」というものが存在していない過去の時代にタイムスリップしていたようだ。

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