第72話 宝くじ殺人事件

「おう、現場はどんな感じだ?」

「警部、お疲れ様です。被害者は、会社員の三十代男性。自身のマンションの部屋で何者かに包丁で背中を刺されました。部屋を荒らされた形跡はなく、金品を盗まれた様子もありません。そして被害者は、手に一枚の宝くじを握りしめていました」

「刺されて死ぬ直前まで持っているという事は、これは高額当選でもしていたのか?」

「いいえ、私もそう思って当選番号と照合してみたんですがハズレています」


警部は現場をじっくり見て回って言った。


「なるほどな。宝くじは一枚だけ。そして組番号は、940。ご丁寧に血文字で940に丸をつけてやがる。くじょーか。被害者に九条という男の知り合いがいないか調べろ」

「分かりました」


数分後。


「九条という大学時代の友達がいました。大学を卒業した今でも、時々飲みに行っていたりするような仲だそうです」

「犯人は九条だ。これはダイイングメッセージだ」

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