第62話 あやかしは歌う
登山の最中、僕はコースから大きく外れてしまい、遭難してしまった。オマケに大雪で最悪の状況になってしまった。しばらく歩いていると、小さな山小屋が見えてきた。ありがたい。僕は、山小屋のドアをノックした。
「すみません。誰かいませんか?道に迷ってしまったんです。中に入れてくれませんか?」
「開いてるので入ってください」
女の声が聞こえて、僕は中に入った。中には美しい女がいた。
「あのね、私、雪女なの」
「雪女?あの妖怪の?」
「うん」
話を聞いてみると、この大雪は彼女のせいらしい。それから一夜を雪女と一緒に山小屋で過ごした。よく話した。楽しい夜だった。
朝起きると、そこに彼女の姿はなかった。
そして僕は、無事に帰ることができた。
雪女が歌うと雪が降る。今日も雪が降っている。
どうやら彼女は、今日もどこかで元気に歌っているらしい。彼女と過ごしたあの日を思い出しながら、僕は窓の外を見る。
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