第49話 茶々丸

「おいで茶々丸」

「ワンッ!」


彼は茶々丸が繋がれたリードを引っ張り、散歩させる。


「茶々丸、お手だ」

「ワンッ!」


茶々丸は、彼にお手をした。

彼は手に持っていたディスクを投げる。

「取ってこい!」


茶々丸は、走ってディスクを追いかけていく。

茶々丸が戻って来た頃、一人の中年男性が彼に声をかけた。


「よく訓練されていますね。正しく躾られていますね」

「ええ。最初は抵抗して言う事を全然聞かなくて、躾けるのにかなり時間がかかっていましたが、今では従順になりましたよ」

「ははは。でしょうね。そんな感じの顔をしている」


その会話をぼんやり聞いていた私は、彼らの方を見て目を疑った。

そこに繋がれていた茶々丸は、どこからどう見ても人間だったのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る