第48話 蘇った老舗

「江戸時代から続くこの和菓子屋も、私の代で終わりか……。これも時代の流れか……」

デパートやコンビニスイーツが発展してきた現代、私の経営するこの和菓子屋もついに終わりを迎えようとしていた。今年いっぱいで閉店しようと考えていた矢先、あのギャルに出会った。


「うわー、古い店ー。木目が良い味出てるじゃん。ウケるー!写真アップしよっと」

「いらっしゃいませ」

「ここ和菓子屋さんでしょ?一番おすすめのやつ頂戴!」


私は、狸の顔が焼印してある狸饅頭を彼女に勧めた。


「えー!狸じゃん!マジ可愛いんだけど!これもアップしよっと!」


次の日。店の前が何やら騒がしく、私は外に出て驚いた。まだ開店時間ではないのに、外には並んでいるお客さんでいっぱいだった。


「狸饅頭ください!」

「私も!!」


そう。あのギャルの正体は、SNSフォロワー数一千万人を誇るインフルエンサーだった。こうして老舗は蘇った。

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