第44話 ループザループ

高二の春、体操選手の僕は宙返りをした瞬間、気が付いたら一週間前にタイムスリップしていた。同じ一週間を繰り返し、また宙返りをすると同じ日にタイムスリップする。同じ日を何度も繰り返し、先の未来へ進むことができないでいた。このままでは、永久に高二のままだ。困り果てた僕は、同じクラスでSF小説好きの酒井に相談する事にした。あまり喋った事はなかったが、彼は相談に乗ってくれた。


「つまり…もう七回目なのか」

「そうなんだ」

「僕が思うに、君はこの一週間で何らかの条件を満たさなければ、先の未来に行く事ができない可能性がある。何か心当たりはないか?この一週間でやらなくて後悔してる事とか」

「…そうか!分かったぞ!酒井、ありがとう!」


僕が後悔している事。それは隣の家で親に虐待されている女児を救えなかった事だ。僕は児童相談所に通報した。これでループは止まった。この女児は、将来僕の部下になる子だった。

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