第28話 月曜が定休日のおでん屋さん

美容師は安月給だ。重労働低賃金。まして私は美容師の卵。見習いだから更に給料が低く、店が終わった後もレッスンが待っているから自由な時間も少ない。幼い頃から憧れていた美容師の仕事に就けたけど、もう辞めたい。


そんな時に出会ったのが、あのおでん屋さんだった。レッスンで遅くなった日、お腹が空きすぎて偶然見つけた屋台でおでんを食べた。とても美味しくて自然と涙が出た。泣きだした私を見て驚いたおでん屋さんのおじさんは、私の話をじっくりと聞いてくれた。


黙って話を聞いてくれたおじさんは、


「毎週、月曜日においで」


と言ってくれた。


私が泣いている姿を誰にも見られないようにと、定休日である月曜日に来るように言ってくれた優しいおじさん。

今日は月曜日。

休みだから客は、私しか来ない。


あれから私は、テレビに取り上げられる程のカリスマ美容師になった。

今でも週に一度、あのおでん屋さんに通っている。

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