第25話 だから僕は、傘をささない

突然降ってきた雨を凌ぐ為、僕は神社の屋根の所まで駆け込んだ。


「ああ、急に降ってきた。ひどい雨だな」

「本当にね」

「えっ?」


僕は独り言を呟いただけなのに、誰かが返事をした。驚いて横を見ると、綺麗な顔立ちをした女の子が立っていた。なんだか気まずくなり、僕は何もかける言葉が見つからず、お互いに無言だった。横目で見る彼女は、とても神秘的に見えた。


雨が止んで僕は、神社を後にした。数日が経っても一緒に雨宿りをした彼女の顔がまだ頭に残っている。


今日の天気予報は、午後から雨。

僕は傘を持たず、家を出た。


また彼女に会えるのではないかと期待して。

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