第2話 15時のシンデレラ

この喫茶店の常連である俺は、マスターから「この店には、15時のシンデレラがよく来る」と言われた。


15時のシンデレラが来る……?

それはどういう事だろう。


珈琲を注文して待っていると、14時になった。すると一人の女性がやってきた。とても整った美しい顔をしている。


マスターがカウンター越しに俺の方を見て「彼女だよ」と合図を送る。


彼女が15時のシンデレラか。

彼女は、俺から二席開けたカウンター席に座った。


彼女はケーキと紅茶を注文し、席で本を読みだした。

チラッと覗くと、彼女が読んでいた本はシンデレラ・ストーリー。

かなりじっくりと読んでいるようだ。


マスターがケーキと紅茶を彼女の所に持っていくと、彼女は本を閉じて食べ始めた。

そして食べ終わり、店の時計が15時になって、メロディーが流れ出した。


「ご馳走様でした」


彼女はそう言うと急いで、店を後にした。

いつも15時になると急いで帰るらしい。

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