第26話
「それじゃあ
「はい!」
魔王おっぱいと勇者一行が姿を消してから一週間。私達はもう一つの問題である
私のおっぱいが元に戻ったという噂が広まるやいなやひったくりは
ただ、そのおかげで
大きい集団になったとしても、それは個人の活動の域を出ない。もし本当に交通事故をなくしたいなら今までの罪を償って、警察官を目指すことを勧めた。
どうやら
「
「嫌々ヘッドになったわりにちゃんと心配してあげるのね」
「なんだかんだオレの言う通りに大人しく暴走してくれましたからね。間違ったやり方だけど、目的は果たせてたわけですし」
「
「す、す⁉」
好きっていろんな意味があるんだよ? 警察官の勉強と一緒にそういうことも学んでいこうね少年。
「さ、着いたわよ。もし暴動が起きても私がなんとかするから、安心して解散してきなさい」
「は、はい」
そう激励したものの
「おう。久しぶりだな」
「
「一週間音沙汰がないから心配したんすよ」
「
「いろいろあってな」
スゥっと深呼吸して息を整える。
「……
なにかの冗談と受け取られるか、暴動が起きるかのどちらかだと思っていた。
「か、かいさん?」
「マジかよ」
「
じりじりと距離を詰めてくるメンバーにたじろいでしまう。
「「「俺達をまとめてくれてありがとうございました!」」」
返ってきたのはメンバーからの感謝の言葉だった。
「俺、
「そろそろ別の道を探さないとダメだと思ってたんすけど言い出せなくて。
「だから
「……っ!」
「お取込み中のところごめんねー」
感動に水を差すようで申し訳なかったけど、このまま良い雰囲気で終わらせるわけにはいかない。
「うげっ!
「
「ビ、ビビってねーし! やましいことは……あるけど」
「自覚があるならよろしい。
「はい! 任せてください」
そう言って彼はいっちょ前に敬礼を決める。
「敬礼をするってことは、警察官として私の部下になるってことでいいのかな?」
「が、がんばります!」
「体力だけじゃなくて勉強も必要だからね」
「うっ……」
「私が警察官の道を勧めたんだから、ちょっとくらいなら勉強見てあげるわよ」
「ありがとうございます! オレ、頑張ります!」
なんだかわからないけどヤル気になってくれたみたいで良かった。まあ、試験を受けたのはもう何年も前だからちゃんと教えられる自信はないんだけど……。
「それでは
「行ってらっしゃい。こんなやりとりしてると、なんか新婚みたいだね」
「……っ!」
冗談で言ったつもりなのに顔を真っ赤にする
「あの……もし、オレがちゃんと警察官になれたら」
「うん?」
「いえ、やっぱり警察官になった時に言います。行ってきます」
「気を付けてね」
バイクに乗る彼の背中からは迷いが消えて、目標に向かって走っているように見えた。
ちょっと寄り道をしたかもしれないけど、まだ若いからいくらでもやり直せる。
もうすぐ三十路の私と違って……。ダメ! 歳のことは気にしない!
見た目だけなら中学生なんだから! 顔も、胸も……。
なんだか寂しくなった胸元をそっと撫でて仕事に戻る。
元・
おっぱいが魔王だったなんて夢みたいな話だけど、間違いなく私の胸には魔王がいた。あの時に言えなかった言葉をぽつりとつぶやく。
「魔王、ありがとう」
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