ロシアっ子来日女子高校生はバイリンガールになりたいだけ。
前田 米路
第1話 転校してきたのはロシアっ子JKでした
今日は入学式。新入生を祝う日でもあり、1年生は2年生へと、2年生は3年生へと進級する日でもある。
学校へとつづく川沿いは新学期にはせる思いのためか活気に満ち溢れていて、ローファーやスニーカーが地面と当たる時に鳴るカッツという音が更に通学路を賑やかにする。普段味わえないような高揚感を感じる。そんな春の季節が僕は好き。
……なはずだったが。
「おーい、誰か学級委員の枠1つ余ってるからやってくれよ。このとうりだ。頼む」
と、顔の前に手を合わせる僕の担任となった
けれど、時にはかっこいいこといってみたり、メリハリがある先生である。ちなみに新高校2年生の僕目線からすると身体のメリハリもすごい。(小並感)
僕はというと、目線を窓越しに見える透き通るほど青空に映し学級委員を募る先生を横目で見ていた。
「このままでは一生終わらないぞぉー」
自分自身、高校生1年の時にこの学級委員という仕事をそれもこの豊永先生に強制的にやらされた苦い思い出がある。しかも学級委員なんて、名前はかっこいいが、ただの雑用にしか過ぎない。
去年なんて、地域との結びつきがどうとかで近所の老人ホームの高齢者と焼き芋パーティーの運営・企画をやらされたりした。
本当なら、一回やった僕は今年は免除みたいな事になるはずなんだろうけど、ここまで立候補する人がいないとなるとやっぱりやってもいいかなっていう気持ちになっちゃうね。これ。
そんな事を考えながら、ふと顔を前方に移すと、バッチリ豊永先生と目があった。
ふーん、よくみると顔立ちも結構整ってるし、どうして旦那さん出来ないんだろうと思っていると、いきなり般若のような面立ちでガン飛ばしてきた。
……えっなに、まさか僕が思っている事お見通しなの?いや、違うか学級委員やれってことか。そういう話だったもんな。
このままでは本当に終わりそうな気配が無かったので、バッと席を立つ。はぁ。
「はーい、やりたーいでーす」
僕の気だるげな声が教室に響き渡った。
* *
これでも一応この物語の主人公である僕──
来賓用に綺麗にしてある机越しにいるのが、うちの担任であり僕が所属している文芸部顧問の豊永先生。
「よく来たな、そこのソファーにかけたまえ」
そう言われて、腰を下ろす僕。
来賓用に用意されているためか、座った瞬間ボフッと音をたててお尻がクッションに埋まる。
「何の用ですか?」
「そうすぐに本題に切り出そうとするな。
最近学校はどうか?」
この先生はいつもそうだ。面倒事を切り出す際は、前触れ的なものを先に入れて話し出してくる。
「あなたが、無理矢理押し付けた学級委員のせいで忙しいですよ、ほんと」
少し嫌味を含ませ、言ってやった。
「心外だなぁ。押し付けたつもりなんてないぞ。ただ、新クラスの学級委員決めがなかなかの決まらなかったもんでな。授業終わりのチャイムがなる前に、挙手をしてくれて助かったよ」
「それだとなんか自主的にやったみたいな物言いじゃないですか。決まらなそうになった時から、ガン飛ばしてきたのはどこの誰でしょうね。」
「これは人生の教訓だ。学習したまえ。はっはっはっ」
「もう、わかったんで本題に移ってください」
「いや、まだ……」
「本題はよ!!!」
「はい、わかりました」
僕が高圧的な態度になり、やっと本題に切り出そうとする豊永先生。
「まずは、役者を連れてくるから大人しくしてるんだぞ」
「僕は飼い犬か何かですか…」
彼女が腰を持ち上げ、席を離れた。そしてドアをコンッコンッと2回ノックする。
ていうか、役者って何?
僕は固唾を飲み込み、ことの成り行きを見守る。
ガチャと扉が開け離れた先には…
──丈が肩まである光の束を集めたような金髪をふわりとなびかせた天使がそこにいた。
透き通った灰色の瞳はリスのように、クリッとしていてなんとも愛しい。色白いその肌は雪を彷彿させる。
恥ずかしそうに頬を赤らめながら上目遣いでこちらをみている。
そのあまりにも透き通った灰色の瞳に目を奪われつつも、なんとか気をたしかにする。
「紹介しよう。転校生のアレクサンドラだ。よろしく頼む。」
これが、僕とアレクサンドラの出会いだった。
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