マジキチマシマシ

マシマシジロウ

第1杯 邂逅、マシマシ。

「すいません、ニンニクアブラマシマシ、麺少なめで。」

このセリフを何度吐いただろうか。

正直、ぶっちゃけ大してうまくもないと思いながら、健やかなる時も病めるときも、常にこのセリフを唱えては己の脂肪へと変えていった。


 「テセウスの船」という哲学的命題がある。

 

 ある物体において、それを構成するパーツが全て置き換えられたとき、過去のそれと現在のそれは「同じそれ」だと言えるのか否か、という問題である。

もし、この命題を否とするならば、私の体は二郎によって置き換えられていて、つまり、 

 二郎=私自身ということになる。


そう、私こそが二郎であり、二郎こそが私なのである。


 そう思えるほど、私は二郎を食っているし、もはや二郎に食われている。

 そんな私が二郎と出会ったのは、高二の夏だった。茹だるような暑さの中、私は二郎という異世界へ迷い込んだのである。

 今回はそんな異世界転生の如き初二郎体験をつらつらと書いてゆく回です。

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