パワハラ勇者の経験値を全て稼いでいた《ポイント・エージェンタ》は追放されてしまう~俺が居ないとレベル1になるけど本当に大丈夫?スキルが覚醒して経験値【1億倍】なのでS級魔法もスキルも取り放題~
第7話 村人全員に経験値を付与し、滅茶苦茶感謝される
第7話 村人全員に経験値を付与し、滅茶苦茶感謝される
アリシアが最低限のミノタウロスを倒した後、彼女はすぐさま俺の元へ駆けつけてくる。
「アルス様。私は戦っている村人を避難させつつ、ミノタウロスを一匹残らず駆逐すれば宜しいでしょうか?」
「ああ、頼むよ! 俺は後で合流するね!」
「く、くふぅ~。アルス様にお願いされた……! 討伐が捗る、捗るぅぅ!!」
じゅるりと不気味な音と共に、彼女の方から聞き慣れない声が聞こえてきたが、多分気のせいだろう。
「そ、村長さんは俺と一緒に村人の避難に協力してくれませんか?」
「おう、任しとき! ワイが一人残らず、村の外に逃げるよう呼びかけたるわ!」
左腕でガッツポーズをする村長。
「では、お願いしますね」
俺と村長はすぐさま二手に分かれ、戦えない人たちを村の外へ避難させた。
――30分後。
ミノタウロスの討伐を一旦アリシアに任せた俺は村人全員を一か所に集めることに成功していた。
「これで全員ですよね?」
「ああ、安心してくれ。逃げ遅れている奴は一人もおらん」
村長の報告に安堵した瞬間、子供達が俺たちの元へ駆けつけてくる。
「にいちゃん! おれも戦いに参加させてよ!」
「男のボクが妹と母さんを守るんだ!」
「あんな魔物にやられてたまるか!」
「……ったく、いい加減にしろやっ!! 魔物は強いさかいにオマエらはここでじっとしてなあかんのや!」
子供たちを追い払おうとする村長だが、俺は意を決したように口を開く。
「村長さん。それが念の為、彼らにも協力をお願いしたいのです」
「ボン、正気か!? 今は冗談言っとる場合とちゃうぞ!」
「ミノタウロスと戦っていた村人達から、魔除けの石が魔物に破壊されたと聞きました」
「ああ、予備は無いさかいに、この村に派遣された騎士一人に持ってくるようお願いしてるわ。勿論、騎士団をこの村に呼ぶついでにやで」
「はい。恐らく、もう村の中に入っても大丈夫だと思うのですが、魔除けの石を破壊されて尚且つ夜となると、どこから別の魔物が襲ってくるか分かりません。
それに助けを求めた騎士も必ずここに帰ってくるとは限りません」
「いや、せやかて、何も女の子や爺さん守るために子供使う必要ないやろ?
それに、ボンは嬢ちゃんの元へ戻るけど、ここにおる若い連中で檄を飛ばせば絶対朝まで戦い抜けるわ!」
村長はそう言うが、ミノタウロスと戦っていた村人達は肉体的にも精神的にも疲弊しきっている。
彼らは最低限の戦闘力はあるかも知れないが、決して戦いのプロではない。
それに、この村にいて気づいたが、武器があり合わせのものしかなく、戦える人数が極端に少ないのだ。
「俺とアリシアがミノタウロスを倒している間、ここの村人にはミノタウロスを倒せるまで強くなってもらいます」
そう言いながら、俺は村長の肩を掴み、ポイント・エージェンタを発動する。
さっきは付与が暴走したけど、今度は慎重に能力を発動する。
「なっ……。右腕の痛みが全くない! どうなってるんや!? それどころか、力が湧き上がってくるで!」
「一時的ではありますが、俺は他人に経験値を付与する能力があります。この力を使えば、子供達でも素手でミノタウロスを倒すことが出来るでしょう」
そう説明した俺は次々と村人たちに能力を使用する。
「これで、ボクでも家族を守れるぞ!」
「怪我のせいでもう仕事ができなくなるかと思ったが、治ったぞ!」
「いけるっ! 戦えるぞ!」
絶望で包まれた村人たちだったが、あたりはたちまち歓喜で包まれる。
「ボン。ありがとうな! こっちはワイらに任せてくれ!」
「わかりました。60秒経っても、ここに帰ってこなければ、村に入っても構いませんので」
俺は村に再度侵入し、アリシアとの合流を目指す。辺りを見回すがミノタウロスは一匹もいない。流石アリシアだ。
ということは作戦続行で彼女と合流だな。
俺は村に出て、辺りを見回すと、アリシアが一人でミノタウロスの群れと戦闘を行っていた。
「アリシア! 大丈夫!?」
「ええ、この程度、全く問題ありません!」
そう返答する彼女だったが、やはり声に疲労が滲んでいるように感じられた。
「あんまり無理しなくても良いからね。休んでもらっても大丈夫だから」
俺はアリシアを心配して声をかけたつもりだったが、何故かこの発言をきっかけに彼女の討伐速度は急激に上昇していた。
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