第521話 pat

大分駅の改札は、ステンレスのラッチがあって

黒いベストの女子職員が、出札をしている。


愛紗たちは磁気カード周遊券なのだけど


記念に、と・・・途中下車印を押してもらったり(^^)。



いっぱい、たまった。


楕円の中に駅名が書いてある、簡素なものだけど


愛紗のは


東京

大分

久留米

熊本

西鹿児島

指宿

人吉

湯前

熊本

立野

高森

阿蘇

宮地

大分

由布院

小野屋

大分



友里恵は「あたしも押してもらえば良かったな」と・・・。


由香は「またこんど、来たら」



友里恵はにっこり「そだね。トラベルライターになったら、また、これるね」



そんな風に思うと、帰りの汽車も淋しくない・・・なんて、気持の切り替えかな。



パティは、出札の駅員に左手をあげて、にっこり。



出札さんは、黒い髪、ミディ。後ろでポニーテールにしている。

白いシャツ、黒いベスト「パティ、お休み?」


パティはにっこり「そぉ、みんなの見送りで。」と。改札をくぐって。



友里恵も、由香も自動改札で「おつかれさまです」と、なぜか。

土曜の夕方と言っても、寝台特急「富士」に乗るにはまだ早い。



1番線ホームには、丸い、かわいらしい先頭の「ソニック」が止まっていたりする。


2番、3番には近郊型の白い電車が、青いライン、真っ直ぐに。

4番、5番には赤いディーゼルカーとか、黄色いディーゼルカー。


その向こうの側線に、留置されている近郊電車も、今日は土曜なので

通勤・通学には使われていないのか、お休み。


青い客車や、昨日みた赤い客車も見える。



その向こうに赤い電気機関車が数両、つながって停められていたり。


一番向こうの線路に「富士」の付属編成、個室・食堂車・ロビーカーなど7両が停められて


いる。


10号車個室は

☆のマーク。

SOLO COMPARTMENT CAR


と。



友里恵は「あれに乗るんだねー」と、にこにこ。



その声を聞くと、愛紗も、旅の終わりで淋しい、なんて気持が


どこかに飛んで行って。



楽しい気分になる。



菜由に「飛行機でなくて、のんびりもいいね」と。



菜由は「うん。来る時も列車にすればよかったな、なんて思うな、今。」





友里恵「そー。あたしも飛行機が飛ばないと思ったから。でも、乗って良かった。」




思い出す。観光バスの乗務が終わって、雨の中、新幹線で


下り「富士」を追いかけたこと。



浜松で、車掌さんが連絡してくれて。

乗り継ぎを待っててくれたこと。




初めて乗った夜行列車は、なぜか楽しかった事。



いろんなコトを思いだす。




ほんの少し前の事なのに、ずっと昔のことのように友里恵は思う。



いろんな思い出が一杯できた旅、だった。



パティは「じゃ、お風呂ね、ホームの向こう、小倉の方の端っこ。

ひろーいよ。」と、にこにこ。



友里恵はリュックの中に「タオルあったかなー」なんて。


ごそごそ。「あ、あった」



「お魚あったまちゃうね」と、白いビニール袋で下げてきた

関あじ、関さば。城下鰈のお刺身。



パティは「駅の冷蔵庫に・・・忘れちゃうかな」



と思ってると、うどんスタンドのおばさん、にこにこ。


しゃっきり。パット・ベネターみたいにすっ、と立って


「あずかっといてあげる」と、

白い三角巾、にっこり。




友里恵「ありがとう。じゃ、お風呂行ってきます。食べてもいいよ」と言うと


パット・ベネターさんは手を振って「いーえいーえ。いつも食べてるし」



由香は「ははは。そうか」



菜由は「じゃ、いってこよ?」と。



すこし急いで、お風呂場の方へ。愛紗と一緒に

1番線ホームを、とことこ・・・・。



パティは「理沙さんは?」



友里恵は「機関区でお風呂かな」



パティ「私達は、お家で入ればいいし。湯冷めすると風邪ひいちゃう」



由香「あたしらはこれから宴会で」



友里恵「ハハハ。酒買ってきた?」



由香「ちょっとだけな」



大分麦焼酎、とか・・・看板に書いてある(笑)。

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