第472話 mint

となりの部屋で、友里恵はMTVを見ていたりする。


ロックスターが、上半身裸でギターを弾いていて。


友里恵も、みながらエアギター「いえーい!」



麻のソファの上に登って。



由香は「脱げ」


友里恵「見たい?」



由香「いや別に」



友里恵「下半身ハダカになるか」




由香「削除されるぞ」



友里恵「ハハハ」



由香「こいつにレポーター任せていいのかなぁ?」



友里恵「アンタも出るんでしょ」



由香「あたしも?」



友里恵「漫才ひとりでできないじゃん」




由香「マンザイかいな」



友里恵「ハハハ」



由香「アカルイやっちゃ」




友里恵「ロックだよ、やっぱ」



由香「かもな。音楽ってね。」



友里恵「荷造りしないと」



由香「愛紗たちに箱、渡した?」



友里恵「うん。そこらは、愛紗の方がしっかりしてるし」



由香「ちげーねぇ」



友里恵「ちげーねーワイゼン」



由香「おー、高学歴芸人」


友里恵「専門卒」



由香「まあな。高校はスキップ」



友里恵「いちおー卒業資格アリ」


由香「大学行けば」



友里恵「ムリムリ」



由香「ハハハ」



楽しく、楽しく・・・夜は更ける。




「ぼちぼち寝よっか」由香は、辺りが静かなので。



友里恵「そーだね。なんか、最後の晩だと思うと名残惜しい」



と、ベッドの上にダーイブ!して。



由香「まあ、まだ上りの夜行があるし」



友里恵は、浴衣になって寝っ転がって「なんか、面白かったね、アレ」

ベッドの枕を抱いている。


ちちバンドを外して「んー、オトメの香り」



由香「自分で言うか」



友里恵は笑顔で「もんで&ブラジャーズ」


由香「それ、古すぎ」



友里恵「誰もわからんか」



由香「ハハハ。でもまー。女同士は気楽でいいな。

下着脱いでほっぽっといても平気だし」



友里恵「それ、ライブ配信すんの?」



由香「別のファンが付きそうだなぁ、それ」



部屋の電灯はすこし暗い目になってて

スタンドの灯りが、ぼんやり。




「電気、消すぞ」と、由香。



友里恵「ん、おやすみー」



由香「おやすみ」


友里恵「愛してマース」



由香「ばか」






翌朝・・・・にもならない明けがた。午前4時。

大岡山の千秋は、目覚ましが鳴らないうちに起きて。

2階のお部屋なので、階下の両親が起きないように

そーっと、そーっと。


ガイドだった頃から自宅通勤だったから、両親は慣れているけれど。

お布団をしまって、部屋着に着替えて。



「何か食べないと」と・・・。

キッチンで何か音を出すと、両親が起きてしまうから・・・と

前夜のうちに、クロック・ムッシュとミルクを持ってきて

2階の廊下に置いてある、小さなDC冷蔵庫に入れてある。

ミントブルーのかわいいカタチで、自動車でも使えるような

仕組み。



2階にも洗面台はあるのが、ここの家の面白いところで。

水道を引いたのはなぜ?とか思うのだけれども。



そのうちに2世帯にしようと、父が考えたのかな、なんて・・・

千秋は微笑みながら。




でも、バスの仕事は朝早いので

洗面台だけでも2階にあると便利。





ガイドの頃、朝ごはんを食べずに来る子が多くて・・・。


「おなかすいたー」「あったかいのー」とか

甘えた声を出す子も多かった。



そんな時に、誰か・・・面倒見のいいドライバーで

優しい人が、近所にあるマクドナルドとかに連れてってあげたり。


微笑ましい大岡山営業所である。



そんなことを思いだしながら、クロック・ムッシュを食べたり。

ミルクを頂いたり。



トースターがあるといいな、と思うけど

そんなことをしていると乗務に遅れてしまう。



なにせ、眠いのだ。



今はいいけれど、自分でハンドルを握るなら

夜は21時くらいになる。


それから・・・23時に寝ても朝4時か5時。


時間に追われる毎日になる。



ガイドよりは楽だけれども・・・・。



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