第457話 QQQ

でも、愛紗はそんなに淋しそうでもないから、友里恵は


「旅、終わっちゃっても平気?」


と、竹の割り箸で、お芋をつっついて、食べながら。



愛紗は「うん、ありがとね。友里恵ちゃん。付き合ってくれて」



友里恵は「いやぁ」と、照れ笑い。


由香は「いやぁ、愛紗を理由にして休めたし」


みんな、ハハハ、と笑って。


菜由は「でも、アレでしょ?ライターになったらいつでも休める」



友里恵は「うん、それで食えるかどうかはわかんないから、とりあえずは

掛け持ちで。」



由香は「まあ、若いうちだから」


菜由「そうだよね。なんたって独身だし」



友里恵「そんなのカンケーないじゃん。」




由香「それはそうだけど、やっぱ、見る人は若い娘の方がいいし・・・

使用済みじゃやっぱ、キタネーじゃん」



菜由「悪かったな、キタナクテ」



また、みんなで笑って「さ、ぼちぼち食べちゃわないと、片付ける人待ってると

悪いし」と、友里恵。



由香「今何時?」



友里恵は壁の時計を見る。針だけでカバーが掛かってない時計


「8時かな?」




愛紗は「あ、理沙さんは・・・どうしたんだろ」



友里恵「もう食べちゃったんじゃない?遅いし。おふろかな?」






理沙は、2階の露天風呂に入って、のーんびり。


ここの露天風呂は、元々テニスコートだったところの一角だったので・・・


2階のフロアから、下駄で、からころ。


新しい白木の引き戸を開けて。


着替えるところから、向こう岸が見えるのでちょっと恥かしい。

まあ、見えるのは空だけ、なんだけど。

竹の塀が立っていて。


細かい玉砂利の中に、岩風呂が作ってある。

ちょっと小ぶりで、そこがまた、雰囲気。

遠くに由布岳が見える。




大分に住んでいると、あんまり来ない観光地だったりする。



お風呂あがりに鏡に映ると、我ながら、がっちり体型の津軽娘(笑)なので

ちょっと恥かしかったりする。



でもまあ、だから、弘前機関区のみんなも「だいじょぶだべ」と・・信用してくれた

のもある・・と、理沙は妙に納得した。


華奢な女の子だったら、壊れちゃうかもしれない、と。

体もそうだけど、機関車って列車の先頭だから。

事故があったりすると、そのシーンを目の当たりにするので



男の運転手の方が、そういうのは弱い、とか聞いたけど。



「まあ、ディーゼル機関車は上に乗ってるから」そんなに怖くないだろう。

デッキが前にあるし、運転台は車両の真ん中。


電気機関車とか、電車は・・まん前にあるから。

何かが当たると、そのまんま、シネラマ(笑)。



ソーゾーすると怖いなあ、と理沙は肩を竦めた。









同じ頃・・・国鉄・熊本男子寮。


その「男の運転士」、日光さんのお兄ちゃんは

自分の部屋で、寝転がってひとやすみ。



「そうだ、真由美、気にしてるかな」と・・・

まだ勤務だといけないから、と

メール。




ーオレは無事だ。オマエも、オレのことなんかより

ボーイフレンドでも作れ。売れ残るぞ。



と(^^)。




恋人つくれ、といわない辺りがびみょーなお兄ちゃんである。






すぐに返事が来て。




ー本文なしー




手書きのイラスト。



オバケが、あっかんべー、してる絵だった(^^)。




お兄ちゃんは、笑う「ヘタな絵だなぁ」



ふつー、女の子って絵は上手いもんだけど(^^)。



そんな、ちょっとぶきっちょなまゆまゆちゃんを

かわいい、と思う・・・お兄ちゃんだったり。




いつまでも、妹は妹だしね。


でも、いつまでも一緒では居られないけれど・・・。なんて、心のどこかで思ったりする

お兄ちゃんだったり。



でも、妹が心配したって、今は機関士である。

誰でもなれる、と言う職業ではないから、ずっと、続けたいなぁと・・・思う。

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