第399話 あ、出る

パティは「CAだったら入れますよ。私もそうでしたから」と。


友里恵は「急にニホンジン」



パティ「エイゴ、ワカリマセーン」と、より目。


由香「ハハハ。試験あるの?」


パティ「一応、ありますけど・・・落ちた人居なかったと思います。管理局採用って・・・

アルバイトみたいな感じだから」



友里恵「それなら入れるかも」



由香「まあ、見た目重視かも」


友里恵「ダメダー」


パティ「大丈夫、友里恵、かわいい」


友里恵「そっかな(^^)」


由香「タンジュンな奴」


友里恵「いいでしょ」


由香「確かに・・・ふつーは愛紗みたいに考え込むからな」



友里恵「そうなんだー。」







由香「ハハハ」


ひためぐりバスは、ゆっくりビール工場を後にして、斜めになっている

道路、結構急だった坂道を下って行く。


長閑な田園の風景と、大きな川と。

遠くになだらかな山が見えていて。



友里恵「なーんか、落ち着くねー。」


由香「うん。ふるさと、って感じ」




元来た道ではなく、広い、綺麗に整備された道を下ると

右折して、川を渡る。


そこから真っ直ぐ行くかと思ったら、次の信号で左折して

ふるーい旅館街を通る。



友里恵「なんか、寅さんが出て来る感じ」



運転手さんはにっこり「ここ、ロケがあったよ」



由香「そうなんですね」


友里恵「なーんとなく、日本的な・・・。」



パティは「ハイ。あの・・・後藤久美子さんが出ている」



友里恵「出てるって、オバケみたい」


パティ「ニホンゴムツカシイデスー」


由香「急にアメリカジンになーるな」



パティ「便利です、これ」



友里恵「ハハハ」



パティ「この道もロケに使われて」



友里恵「へー」


由香「するなよ屁」


友里恵「するかっ!」



パティ「ハハハ」



旅館街が終わって、古い街並みの交差点を右に曲がると

左手に作り酒屋がある。



「趣あるねー」と、由香。



友里恵「うん。降りたいけど・・・また今度にしよ」



由香「ま、引っ越せばいつでも来れる」




パティ「大分に引越すのですか?」



友里恵「まだ考えてない」


由香「ハハハ」




その道路を少し進むと・・・駅のそばのバスターミナルの道に出て



運転手さんは「はい、終点。ありがとね」と、にこにこ。

バスをしずかーに左に寄せて、ターミナルの[3]番線に付けて。


ドアを開いた。



由香「ありがとうございました」

友里恵「ありがとー」


パティ「お疲れ様です」



と、バスのステップを下った。




まっすぐ、目の前は日田駅。

道路を渡る横断歩道があって。

青々と茂った広葉樹が涼しげ。


友里恵「電車、何時だろ」


由香「ディーゼルだって」



友里恵「そっかぁ。前さーぁ、朝ドラでディーゼルカーが出てる時

テロップに”電車"って書いたら・・」



由香「違う!って電話が一杯」



友里恵「そうそう(^^)。」


パティ「まあ、ふつーの人は・・・わかんないね」



友里恵「四角い箱だと電車だと思うもん」



由香「だよねー。カメンライダーで電車の時があったけど

あの時もあったらしい」


友里恵「ヒマだなぁ」


パティ「ハハハ」



由香「まあ、ちげーねえ。忙しい人はしないよ」



パティ「忙しかったらTV見てないし」



友里恵「そうそう(^^)」



とか、話しながら・・・信号は青になって

横断歩道を渡る3人。



道路もあんまりクルマはいないし、せせこましくない。

駅前ロータリーものんびり。



赤い文字で・・・ 日 田 駅


って書いてある看板が、駅の屋根の上。



「なんか、懐かしいね」と、友里恵。


由香「うん」



パティ「宮崎駅もあんなでしたし、大分は今でもそうです」



友里恵「長閑でいいなあ」



由香は、改札の上にある時刻表示を見て「あ、すぐ出る」



友里恵「ナカに出さないでー」



由香「ふざけてないで。乗り遅れるよ」



パティ「おっと」



3人は、駆け出す。あと5分・・・・。


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