第397話 南阿蘇村のチャイム

その頃・・・・熊本高校では・・・ようやく6時間目の授業が終わって。



♪きーんこーんかーんこーん♪

と、チャイムの音が流れる。

ちょっと旧式な、FM音源のシンセサイザーの鐘の音。

さわさわ・・・と、波のような音が鐘の音と一緒に聞こえる。


家のある、南阿蘇村の役場もこの音だったと

三芳ららちゃんは思う。


お昼になると・・・どこからともなく「恋はみづいろ」のメロディが聞こえる

のどかな村。





先生、にこにこ。「はーぁ、やっとおわったぁ」(^^)

声に出さず。


ららちゃんも「はーぁ、やっと終わったぁ」と。

微笑み。


あとはSHRで、お掃除して終わり。



「その後は・・・なおなおと・・・お泊まり。」

楽しい週末。


想像はひろがる。


一緒に電車乗って、乗り換えて。

お家まで、とことこ歩いて。

いい景色を眺めながら。風に吹かれて。


そうそう、パン屋さんに寄り道しようかな(^^)。



畑の中・・・・。遠くで、お馬さんが、ぽこぽこ歩いていたり。

牛さんがいたり。


いつもの村の風景だけど、なおなおと一緒だと・・・楽しいね(^^)。








同じように、坂倉奈緒美は・・・・チャイムの音を聞いていて。



4月と言っても、少し暑いくらい。ブレザーの上着は脱ぎたいくらい。

バレー部なので、背の高いなおなお。

でも、おおぶりで、ふんわり。

いつも、にこにこ。やさしい子。




「はー、やっと終わったぁ」(^^;



楽しい事が待っていると、授業って長く感じたりする。



「ごまたん、お昼寝かな・・・・(^^)」








その頃・・・・想像とおり(^^)


三芳ららちゃんのお家、お風呂場で・・・・。

ずーっと、涼んでいる。ごまたん。




はらばいになって。




ときどき・・・・。



ころん




あおむけになったり(^^)。


ころん


よこむけになったり。(^^)。



のーんびり・・・・・お昼寝。





お風呂場の窓から、風が入ってきて。涼しい。



村内放送が、「恋はみづいろ」のメロディを流している。

静かな村、青い空によく似合う・・・・・。





ふにゃ。




ごまたんは、寝ている・・・・。











友里恵たちは、できたて生ビールの試飲コーナーから

逆回りして、展示とか、ちょっとしたビールのPR映画とかを見たりして。




パティは「折り返し40分ですね」



由香「あ!」



友里恵「い!」



パティ「う?」



由香「コントしてる場合じゃないよ」と、エントランスに向かって駆け出して。




赤い、ひためぐりバスは・・・まだ、そこにあった。




由香「ああ良かった」



友里恵「乗り遅れたら次で行けば」


パティ「次ってあるのかしら」と・・・・停留所の時刻表を見る・・・と。



パティ「2時間後」



由香「おー、危ない」



友里恵「なんで?」



由香「だって、夜までに由布院に着くかどうか・・・ローカル線って本数無いもの」



友里恵「あ、そっかぁ。じゃ、便所行ってこよ」



由香「遅れるなよ」


友里恵「解ってるって」



パティは「でも、あと5分ですよ」




友里恵「じゃ、駅にするか」


由香「漏らすなよ」



友里恵「接して漏らさず」



由香「どこに接するんだよ」




パティ「ニホンゴ、ワカリマセーン」



友里恵「ハハハ」



さっき、ちょうちょがひらひらしていた緑地に

白いクローバーの花が、ちらほら。


アクリルのドーム屋根があるバスロータリーへの道を歩いて

友里恵たちは、赤い、ひためぐりバスへと向かう・・・。








日光真由美は、その頃・・・・。

お兄ちゃんの無事を確認、したものの


「踏切事故」と言う・・・イメージに囚われて。


心配。



そういうのは、気持の問題だから、どうしようもないけれど・・・。



なーんとなく、不安げに。特急「あそ」の車掌補業務を引き継いで

熊本駅から・・・鹿児島本線を南下していた。



時折、すれ違う電気機関車に

お兄ちゃんが乗っていないか、なんて思ったり。



「見ても、解らないのに」と、自分でもそう思うけど・・・・。

心配って、そんなもの。




熊本から乗車した旅客の特急券を検札しながら。


黒いスーツで。 帽子は赤いライン。

黒いズボン。



颯爽と。



「失礼致します。乗車券を拝見させてください」と。



熊本からの乗客は、それほど多くない・・・。













理沙の運転する DE10 1205に牽かれた回9002列車は・・・

天ヶ瀬駅を過ぎて、少し登り坂。


理沙は、逆転機を左、前進位置に。

マスター・コントローラを1ノッチ。


ディーゼルエンジンなので、ノッチ位置はガバナである。

燃料の量・噴射タイミングを制御している。

普通のディーゼル・バスと同じだ。


つまり、ノッチを進めるほどに燃料が増えていく。

オーバー・リーンでも爆発するのがディーゼル・エンジンである。




「速度・・・15」理沙は、メーターを見ながら。


すこーしだけ加速。


直ぐに0ノッチ。慣性で進むのである。

トルク・コンバータの油圧もあるので

ゴム動力の模型飛行機のように、ゆっくりと速度が増す。



「速度・・・・20」。



逆転機を中立。



かたたたん・・・・かたたたん・・・。

5軸の機関車は、その重さだけで慣性航法を続ける。

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