第393話 ベートーベン

ひためぐりバスは、友里恵たちを乗せて

JAひたを発車する。



運転手さんはマイクで「ひためぐりバス、発車しまーす」と。

のんびりと。


ドア・スイッチを前に倒す。


ドア・シリンダに空気が入る。


ぷしゅー・・・・・。




ツー、と・・・電子ブザーを鳴らして

折り戸が閉じる。




運転手さんは、左手で指差し確認。


車内、よし!

左、よし!

右、よし!

前方、よし!。



と、思っていたら・・・・JAひたの中から

おばさん達、数人。


手を上げて。「のりまーす」




運転手さんはにっこり。マイクで「はい。開けまーす」と。



車内、よし!。


確認して、ドアを開ける。






おばさん達は、地元の人らしい。


「あーよかった」


「ありがとう」


「たすかったわ」


と、思い思いにコトバを述べて、ステップを昇り、車内へ。




最後尾のベンチ・シートに。




再度、発車!。



ドア・スイッチを前に倒す。


ドア・シリンダに空気が入る。


ぷしゅー・・・・・。




ツー、と・・・電子ブザーを鳴らして

折り戸が閉じる。




運転手さんは、左手で指差し確認。


車内、よし!

左、よし!

右、よし!

前方、よし!。




時刻は、それほど気にしなくていい観光のバスである。



ATのセレクターは、さきほどからD。


ブレーキを解放すると、ゆっくり走り始める。



がらがらがら・・・・・・・。ディーゼル・ターボらしいエンジン音。




友里恵は「乗れてよかった」と、ひとりごと。



それを聞いたおばさんのひとりは「はい。おかげさま。ありがとね。待ってくれて」


と。




友里恵は、ひとりごとだったので「あ、いえいえ(^^)。待ってくれたのは運転手さんでーす


と、にこにこ。




おばさんは「いえいえ、乗ってる人は早く行きたい、って人もいるから」



由香もにっこり。



パティもにこにこ。




ひためぐりバスは、ゆーっくり駐車場を走りながら・・・・バイパスに出る。




次の信号を左折して、役場のような建物の玄関に着く。



そこで、おばさん達は降りていった。



「ありがとね」と、にこにこして


料金箱に100円を入れて。




ドアを開けて、すこーし待ってる運転手さん。



乗り遅れがないように、少し待っている。

あまり本数の無いコミュニティバスは、そんなふうに

すこーし、遅れながら走らせることも、いい。




誰も来ないので、ドアを閉じる。


ステンレス・メタルのドアスイッチを前に倒す。


ツー・・・。


ぷしゅーー・・・・・。


折り戸がばたりと閉じる。




ブレーキを踏み、ATのセレクターをD。



運転手さんは、穏やかに左手で・・・



車内、よし!

左、よし!

右、よし!

前方、よし!


低い運転台、ボンネット型なので

前のアンダーミラーは小さいけれど

結構、右側から見えるので・・・いくらか気楽。

左側は見えにくいけど、クルマが小さいので

そんなに気にならない。



ぐるりと、役場のお庭を回って・・・・。交差点への道に合流。


運転台がボンネットのぶん、後ろなので

ちょっと気を使うけど・・・でも、日田のひとはのんびりだ。


バスを入れてくれる。



運転手さんは、ふ、と空気ホーンを鳴らして。

右手をあげて合流。


なんとなく、友里恵も右手あげたり(^^)。



由香が「習慣かな」



パティ「そだね」



友里恵「ハハハ」


がらがらがら・・・と、エンジンが回り、青信号を右折。

さっき来た、国道を戻る。



沿線は、たんぼが一杯。



友里恵は「なーんか、ベートーベンのたんぼだね」



由香「おお、高学歴みたい。でも、たんぼじゃないぞ」



パティは「田園でしょう」




友里恵「そーだっけ。なんか。のーんびりした曲で」



パティは「たんぼの歌・・・・あったかな(^^)」




友里恵「パティがいったんじゃん」




パティ「そーだっけ」

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