第381話 連結・解結

日田駅の1番線ホーム。友里恵たちが降りたところは駅舎のすぐそば。


入れ替え機関士と、連結手が来る。


理沙は「あ、ごくろうさまです」と、挙手敬礼。


おふたりも。



友里恵は「自分ではやらないの?」と、理沙に尋ねる。


理沙は、妹に言うみたいに「うん。大きな駅はね。専門家が居るから。

配線とか、転轍とか。いろいろあるし」


友里恵「デンキみたい」と、わかんないので(^^)。



理沙「うん、配線ってね、線路のつながりとか。機関車をどこまで進めていいかとか。

ポイントがどこにあって、速度はどのくらいとか。

転轍って、ポイントを変えること」



友里恵「うー、難しー。テスト出る?」



理沙「出るよ」


友里恵「うわーダメダー」と、頭抱える(^^)。



理沙は笑う。その間にもDE10 1205は編成から離される。

連結手が身軽に。黄色いヘルメット、蛍光ベストで。


エアホースを外し、連結器ロック解除。


機関車のデッキに飛び乗り、緑の旗を上げる。



入れ替え機関士は、フォーンを短くならす。




警笛ペダルを踏み。



機関車単弁、右手の一番上の

簡素なパイプを曲げたレバー、右に出ているそれを

1ノッチ。


左手下の逆転機を左。


ぐい


と、進むあたりで機関車単弁を緩める。



上のマスターを1ノッチ。

エンジンが、どろろろろ・・・と回転をあげて。



0ノッチ。


ゆっくりゆっくり、連結器が開いたままDE10 1205は前に進み・・・・・ポイントを渡る。

隣接、退避線へ13mの車体全体が渡る。


ゆらり、揺れる。



機関士は、逆転レバーを中立にし

機関車単弁を、すこーしだけ振って、戻す。


しゅ、と・・・空気が抜ける音。



ゆっくり。停まる。


連結手が乗っているので。



機関車単弁、1ノッチ。



転轍が終了し・・・・。

無線で、機関士に連絡が来る。


「入れ替え機関士、こちら日田駅」



「機関士です、どうぞ」



「転轍終了、どうぞ」



「了解。進行します」



DE10 1205は、デッキに連結手を乗せたまま、トロッコ列車編成の後端へと向かう。




フォーンを鳴らす。


連結手は、緑の旗を上げる。


逆転機レバーを右へ。



機関車単弁を緩め位置、0へ。



ゆっくり、トルクコンバータの油圧があがり




と、DE10 1205は動き出す。



デッキの連結手は、緑の旗を揺らしながら、前方注視。





友里恵は見ていて「面白いね」


理沙は「うん」








大岡山営業所では・・・指令、細川が「どーぉ、あの子。千秋ちゃん」



指令、野田「かわいいね」



細川「まーたぁ。そっちじゃなくて」



野田は「うん。俺はね、事故がなければいいけど」


細川「でも、女は面倒だ?」


野田「それはホンネ」



有馬は「まあ、でも・・・男はダメなのが多いから」



野田「そーだなぁ。楽する事ばっか考えてやがって」



細川は「そう。中型もろくに乗れないのに大型志願して。事故起こす」


野田「大型のほうが楽だって、古いのに教わる」



有馬「誰かが乗らなきゃならないのにね」




野田「ホントに潰れるよ、このままじゃ」と。半分冗談だけれども

そんなことをつぶやいたり。

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