第364話 ぱ、ちんこ

友里恵は「バスと違って、勝手に進むから楽だと思ってた」


理沙「そう。レールがあるからねー。重いから、進まない、停まらない。勢いがつくでしょ」



恵良駅は、風情のあるふるーい駅で。阿蘇の方向に

小さなホームが残っていて。


線路のあとがあったり。


友里恵は「あれって、昔走ってたんでしょ?」



パティが「そうですー。宮原線の跡ですねー。さっきの川の土手に

線路跡、ありましたね」



由香は「さすが、詳しい」


パティは嬉しそうに「へっへー、いちおー。ガイドさん」




友里恵は「あたしもガイドさんだよー。

みなさまー、右手をごらんください。パチンコたこがありまーす」


理沙「ハハハ。それやったの?」



友里恵「やらない」



パティ「なんだぁ」



由香「ハハハ」




理沙は「まあ、今はパチンコたこって出来ないよねー。回すやつだし」



友里恵「そうそう。なんで?昔のパチンコ台のこと知ってるの?」




理沙「うん。おじさんが寝台特急の車掌で。折り返しで暇な時、行くんだって。」



由香「あー、由布院にもあったね。駅前パチンコ」



理沙「アレも、昔は国鉄職員で賑わったんじゃないかなー。大抵あるよ。駅前に。

大分にもあるし。まだやってるよ」



友里恵「あ、そーだよね。駅でて左の。ふるーい八百屋さんと、パチンコ屋さんがあって

なんか懐かしい感じで。」



由香「高校の時行ってたから?」



友里恵「パチンコは行かないなー。ゲーセンくらいか」



由香「似たようなもんか」


パティ「ハハ、由布院にはなーい。」



理沙「健康的でいいね」



パティ「うん、まあ、野球部だったから、いく暇なかったけどね」



友里恵は「野球、いいねー元気で」



由香「やりたくなるでしょ」


友里恵「指あそび?」



由香「それはあんたでしょ」



パティ「ニホンゴ、ワカリマセーン」



理沙「それ、便利でいいな。パティの場合」



パティ「ハハハ」








短い停車時間が終わり・・・・黄色いディーゼルカーは

ドアを閉じる。



運転士さんがホームの、バックミラーを見て。

降りてみて。



乗降確認。



ドアを閉じよう・・・と。



駅に駆け込んでくる人が居たので、待ってあげる。



近所の人だろうか。


豊後森は、比較的大きな町なので

お買い物とか・・・・バスに乗り換えて耶馬溪や中津の方へ行くとか。



または、日田に行くとか。

移動範囲がひろーい、九州のひとである。




乗る人を待ってあげてから、豊後森ゆき、黄色いディーゼルカーは


ドアを閉じた。




乗客は、後ろのドアから乗って

整理券を取った。



すー、かちゃこん。



次の整理券が出るんだけど、もったいないことに

最後の券はいつも、ごみになってしまう。




ドアを閉じると、ナイフのようなカタチの

バーが出て、最後の整理券を半分に折って

収納するのだけど



機械の横にあるフタを取ると見える、前面の裏側の狭いスペースに

それが折りたたまれるので


こまめに取らないと、詰まってしまう、ワケ。










のんびり、車窓を眺めていた愛紗は

その音で、路線バスを思い出していたりして。



ふるーいバスの、床油の匂い。


高い床、ながーいシフトノブ。

ぶらぶらのシフトゲート。


ゆるーいハンドルの遊び。


どことなく、うす汚れた感じの

使い込まれたシート。




田舎道を、ゆーっくり走るなら

そんなに怖くはないだろうけど。




「たまたま、行った先が、都会だったから」



そんなことなんだろうな、と・・・。

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