第362話 だよーん

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熊本車掌区で・・・・・お祈りしてるまゆまゆちゃんに


裕子は「なにやってんの?」


まゆまゆちゃんは、われにかえり「いえ、なんでも・・・」


車掌区長は「真由美ちゃんね、お兄ちゃんが無事でありますようにって」



裕子は笑顔になって「あんた、ほんとに・・・かわいいのねー。よしよし」

って、まゆまゆちゃんを、撫で撫で。


区長は「大丈夫だって。もう着いたんだから。鹿児島に。」





鹿児島についたお兄ちゃんは・・・・。


踏み切り支障とは言え、列車に遅延が生じたので・・・事故報告書を書いていたりして。



いつもながら、こういう事務処理は苦手である。


「あー、めんど」



と、思う。でもまあ、事故でなくて良かった。



ただ・・・・今思い出すと若干・・・手順に問題があったかもしれないと

お兄ちゃんは自身、思う。



列車無線が入り、非常信号を受けたとき

ATS警報を手動で解除し、常用最大ブレーキでゆっくり止めた事。



荷崩れが起こらないように、と言う配慮もあったし

荷の重さから、それで停まれる予測は出来ていた。



手順では「速やかに停止」となっている。




そういう辺りは、割と曖昧で・・・・

あまりマジメに書くと、却って管理が


「手順に沿って居ない」と、処分されたりするので


そういうのは消してしまう事を、乗務員の隠語で「〇にする」と言うのだが



この程度はかわいいほう。



近年、最大の脱線事故の原因になったのも、運転士が停止位置のオーバーランを気にし



〇にするよう車掌に頼んだ。


が。


無線が車掌に入り、それを気にした運転士が

ブレーキング・ポイントを誤り、カーブを曲がりながら減速したため・・・・

脱線転覆した。


と言う事らしい。


75km/h制限のところ、100程度なら

ブレーキを掛けなければ回れる可能性もあるのだが


何を考えたのか、カーブで傾いているところでブレーキを掛けた。から、転覆した。




隠蔽は怖いのである。



と言うか、遅延とか、オーバーランとか

些細な事で勤務評定をする姿勢が悪いのだが。










熊本高校の、ららちゃんは・・・。

お昼を一緒にすごそうと。


なおなおちゃんを待っていた、廊下。



大きな木が、緑の葉を茂らせて

綺麗に、木漏れ日を作っていて。


きらきら。


輝く光が、廊下の硝子に写っていて。




なおなおちゃんは「あ、らら、ららー、こっち!」と、にこにこ。


ふんわり、丸顔、大柄、さっぱりショートカット。にこにこ。



駆けてくる。



ららちゃんは、両手を振って「なおなおー」と、にこにこ。



「ねね、きょう、うちこない?ごまたんとあそぼ?」



なおなおちゃんは、息弾ませて「うん!いーよ。一緒に帰ろ?」



きょうは金曜。


ららちゃんは「バレー、あるの?」


なおなおちゃんは「あるけど、いいよ、たまにはお休みにしても」



ららちゃん「そだね(^^)」



なおなおちゃん「うん(^^)。ひさしぶりだー。ごまたん。おっきくなったかなー」




ららちゃん「遅くなったらね、お泊まりしなさいって、おかーさんが」



なおなおちゃんは「楽しいね。じゃ、遅くなろ」



ららちゃん「うふふ(^^)」


なおなおちゃん「うふ(^^)」



楽しいお昼・・・・。





友里恵たちが乗ったY-DC125は、豊後中村駅を出発する。


理沙は「軽そうに走るでしょ」



友里恵は「うん」



理沙「トルクがあるからね」



友里恵「トルコ?」


理沙「それは国でしょ。トルクって、捻る力」



由香「友里恵は違う答えを期待したろ」



友里恵「それはアンタのそーぞ」



パティは「ニホンゴ、ムズカシイデース」



友里恵「それ言うとギャグで通じるね」


パティ「ハハハ」




友里恵は「それ、試験にでるの?」


理沙「出ないけど、知識として」



友里恵「ふーん・・・クルマの免許試験にはないけど。昔はあったみたいね」



理沙「あ、そうなんだ。わたし、車はふつー免許しかないし」



パティ「そうそう、おとーさんの頃はエンジンの試験とかあったって」



友里恵「アメリカの?」



パティ「日本だよーん」



由香「だよーん・・・のおじさんか、パティのおとーさん」


パティ「まさか。ハハハ。だよーんの船長さん。ブロンドの」



友里恵「なんかヘン。その絵」



理沙「面白いね」



友里恵「なんのハナシだったっけ」




理沙「そうそう。機関車はね、トルクが大きいから

軽く感じるよ。走り出すとき」

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