第326話 みんな、おそろいね

愛紗は、そこが自分でもなんとなく気づいていて・・・

「そっか」と。わかった感じがした。


「ありがとう、友里絵ちゃん。私、解った。

心が必要なんだよね。そういう」


友里絵は「いやー、あたしじゃなくて。さっきの理沙ちゃんが・・・


あ。」


隠し事のヘタな友里絵である。



愛紗はにっこり。「理沙さんが、そう言ったの?」


友里絵は「うん。そーいうと愛紗、気ー悪くするかと思って」



愛紗は、そんなにまで自身に気遣ってくれる友里絵が

とても有難いと思った。それで、明るく。


「そう、ありがと。ホント。正面からそう言われたら・・・反発するかもしれない、私」



と、そう言った。




実際、どうか解らない。理沙は年上だし、バスよりも大きな、機関車を動かして

乗務している人だから。



教訓として感じる、かもしれない。

それは、感情とは別。



友里絵と愛紗は、回廊を歩いて。


階段を昇って4階へ上がった。






理沙は、浴衣に着替えて・・・さっきの愛紗の

のどかな感じ、ふんわりしてる辺りを思い出していて。


「あんまり・・運転向きじゃなさそう」



年が若い、と言うのもあるけれど。


理沙にも妹が居るけど、その妹の成長を見ていると

そんな風に思う事もある。


年齢に沿って、いろいろ、気持も変わるものだし。




「だんだん、ふてぶてしくなるから」と、自分のおなかの肉をつまんで。

にっこり。(^^)。



理沙自身も、思い返すとそうだったような気もする。



研修も、資格試験も。

そんなに簡単ではなかったし。


その都度、一生懸命になって

やっとこさ、取れた資格。




羽織を着て「さ、ちょっと行ってくるか。パティも居るし」(^^)。



襖を閉めて。玄関を開けて。

回廊に出て・・・・。


暗い、回廊の窓を眺めながら。


由布見通りの車が、ゆっくり、ゆっくり。

通り過ぎていく。



「旅くらし、か・・・・。」


青森から来て、随分遠くまで。


「まあ、いつまでも・・・・続くとも思えないけれど」


ディーゼルカーの運行が。

電化されれば、電車運転士の仕事であるから

新たに免許を取る・・・コトを認めてくれるかは

わからない。



「まあ、日本中のどこかに走ってるさ、ディーゼルは」



と、さっぱりと。そう言って、弱気にならないように。



♪ちゃいむ♪


408.理沙は、登ってきて。



はーい、と・・・友里絵の声がして。



かちゃり。



マホガニーの重厚な扉を開く。



「ああ、理沙ちゃん」と、友里絵にっこり。



理沙も、にっこり。



さ、どーぞ・・・と、408にみんな、来ていて。


コーナー・ソファに愛紗、菜由、さかまゆちゃん、ともちゃん。


デスクの椅子にパティ。



スツールに由香。



友里絵はベッドに腰掛けて。



「あー、みんなおそろいね」と、理沙。


さかまゆちゃん、ともちゃんは「こんばんは」と、にっこり。



パティは「リサー」と、にこにこ。


友里絵は「えーと、知らないのは菜由と由香だけか。理沙ちゃん、あっちが菜由。

こっちが由香」



由香は「えらい省略したな」



菜由は「ハハハ」



理沙は「はい、橋本です。青森県から来てます。ディーゼルの機関士です。

25歳」



友里絵「はい。バスガイド組は21歳、あたしと由香は今度21ね」


由香は「年言うなって」


理沙は「21ならまだいいよ」


パティは「確かに」


理沙は「パティ18じゃない」


ハハハ、とみんな笑う。



友里絵は、理沙に「あ、それじゃ、こっちの椅子を」と・・・。


ハイバックの椅子を。



理沙は「ありがとー。なんか、運転席の椅子みたい」と。



友里絵は「ゆふいんの森の運転席ってこんな椅子?」と。


理沙は「うん、感じは似てる。座り心地はいいね。2時間座るけど」

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