第294話 花の女子更衣室(^^)

豊肥本線特急「あそ」3号は、大分川沿いに下ってきたかと思うと

カーブして、鉄橋を渡る。


大分川だ。


がこーん、がこーん・・・と、大きな音。



「あっちの線路」と、友里絵が指さす。


ともチャンは「日豊本線です。臼杵の方へ行く線路」と。


さかまゆちゃんは「三重町からのバスが行くところですね」


パティが来て「あ、そろそろおりまーす」


さかまゆちゃんは「わたしたちは車掌区に行きますから、少しの間、6番線で待ってて下さ


い。久大本線ホームですね」


愛紗は「はい」


菜由は「あー、帰ってきちゃったなー。」


由香は「帰りたくない?」


菜由は「そんな事無いけど、旅って楽しいもの。家にいるよりずっと。」


友里絵「そうだよね。あたしはバスガイドで、いつも旅してるんだけどサ」


由香「ハハハ」



列車が、鉄橋を渡りきると・・・大分の街だ。



来るとき、通った駅。

線路が幾つにも分かれて、広がって。

列車が沢山停まっている。


愛紗も「ああ、帰ってきたな」と、思う・・・。



大分駅の3番線に着いた「あそ3号」から、友里絵たちが降りて。


パティと、さかまゆちゃん、ともちゃんは「じゃ、私達は終着点呼に行ってきます」


車掌さんに、ごあいさつ。敬礼。


なんか、制服じゃないとちょっとヘンだけど(^^)。




来たときお弁当を買ったお店。

アイスクリームのボックス。

新聞が並んでるキオスク。


1番線ホームの、うどんスタンド。

スレートのお屋根。

コンクリートのままのプラットホーム。




懐かしいな、と友里絵が思う。「帰ってきたんだな」と。



まだ4時前である。


菜由は「いいなぁ、こんな時間に帰れるなんて」


愛紗も駅の時計を見上げて「ホント」



バスだったら、だいたい夜だ。



愛紗もちょっと思う。「バスは辞めようかなぁ」(^^;


まあ、国鉄が使ってくれれば・・・のハナシ。




乗ってきた列車が、エンジンの音を響かせて別府に向けて出発した。

友里絵は、そのテールサインを見て・・・「行っちゃった。」



楽しかったなぁ、阿蘇の旅も。

そんなふうに思いながら・・・。



列車が巻き起こす風が、友里絵の長い髪を揺らした。





階段をことこと下りて。地下道を通って。

6番線に向かう。


5番線・6番線は、久大本線ホーム。


「直ぐ来るかなあ、パティたち」と、菜由。



由香「来るんじゃない?点呼だけだったら」。



バスだって点呼は数分。でも、バスのお掃除とか、お金の集計とか。

そういうものが分業になっていないから、30分くらいは掛かる。


ガイドはもっと、時間が掛かる。

お客さんに出したお菓子の余ったものの始末、とか。

座席の忘れ物点検、とか。


もろもろ、1時間は掛かったりする。







大分車掌区のパティたち・・・。



「終着点呼お願いしまーす」。


車掌区長も、おじさんなので(^^)

パティたち、かわいい女の子には優しい「はい。おつかれさま。気をつけてね。

明日の予定見てって。アルコール検査してね」



3人も「はい」(^^)。


アルコール検査は、乗務後にもするのがキマリ。


不思議だが。終わってから見つけても。



乗務員証は、今はRFIDになっているので

かざして、アルコール検査機に息を吹けばいい。



ふつう、緑ランプが点く。


たまーに、ユンケルとかそういうドリンク、アルコールの入ったチョコとかで

赤ランプになるので要注意。



報告書を書いたり、タイヘンなのである。(^^;



まあ、乗務中にユンケル飲む人は少ないけど。





パティは、機械に乗務員証をくっつけて。


ぴー。


機械が反応して、乗務員番号と顔写真が出る。


機械にカメラがあるので、そこの前に顔を出して。


息を吹きかける。短いストローで吹くけど


女の子はたいてい、マイストローを持っていたりする(^^)。



やっぱ、ね。



パティも、ポケットから虹模様のストローを出して。


吹く。


ぴー。


緑ランプが点く。



「ああ、良かった」と、にこにこパティ。





さかまゆちゃんも。


ぴー。




ともちゃんも。




車掌区から「失礼しましたー」と、出てきて。



パティはお着替え。



ともちゃん、さかまゆちゃんもお付き合いで、更衣室へ。



廊下が狭いので、居るとジャマだし(^^)。





更衣室は、廊下を進んで奥の方。


一見、それと解らないようなドア。



ドロボーさん対策かしら(^^)。






クリーム色のカーテンが引いてあって、中は見えないけど



熊本区みたいな、バリアフリーの引き戸じゃないのは

大分駅が、近いうちに高架駅に変わるから、だという話だった。





ドアの中は、なーんとなく甘い香りがして。


香水の香りか。



ロッカーは普通の、事務用ロッカーよりちょっと大きいのが

ぽんぽん、と並んでいて。



入り口にランドリーバゲージ。


どこでも同じで、着た制服はクリーニングに出せる。

そういうところも、バスよりは遥かにいい。



パティは、ひょいひょい、と着替えて。

着てきたメイド服(?)には名前書いてあるので

そのままクリーニングに出した。



私服は、ストレートのジーンズにシャツ。


ブロンド、青い瞳だと、なんとなく・・・ロックのミュージック・ビデオに出てくる

女優さんみたい。



パティは「ともちゃんみたいなワンピースもいいなー。」と。



横縞のニットのワンピースは、白。ところどころに藍色の縞があって

上品でかわいい。


ウェストも、絞ってなくてふんわり。


「こういうの好きなの」と、ともちゃん。にっこり。



「サンダルの方がかわいいけど、靴まで持って来れないし」



さかまゆチャン「ホント。靴はね。」ロングスカートなので、靴は隠れちゃうけど。


モノトーンのブラウスは、細かいお花の模様。

襟がちいさめで、かわいらしい。


白い、コットンのお帽子。



ちょこんと、更衣室のベンチに座っているふたり。


フロアには木のスノコが敷いてあって。

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