第268話 あ!熊だ!

「たまちゃん、居ないねー」と、友里絵がホームを見ていて。

ディーゼル・カーに乗り込む。

ステップ、一段。



にゃ。


フロアに。きちんと足をそろえて。たまちゃん。



友里絵は、しゃがんで「たまちゃん、こんなとこにいたのー」と。


人差し指で、たまちゃんのあごのしたを、なでなで。

たまちゃんは、目を閉じて、ごろごろ。

指にじゃれている。



よしよし・・・と、なでなで。



ゴールデンちゃんは、ホームから。


ぼー・・・・っと、見ている。

なんとも、ふんわりしててかわいい。



由香は「濡れちゃうよ」と、ゴールデンちゃんに言う。


菜由は「犬は平気だよ」


愛紗「毛が長いからね」



と・・・ゴールデンちゃんはディーゼルカーに乗ってきて。

たまちゃんとすりすり。




「あれ、仲いいね」と、友里絵。


「ほんと」と、由香。



運転手さんは「ああ、時々乗ってるな、この犬も」



友里絵は「どこの犬?、この子」


運転手さんは「ああ、駅前の角のお店。いつもは店の前で寝てるな」



菜由は「列車乗ってどこ行くの?」


運転手さんは「見晴らし台とか、白水あたり。お昼には帰るな」



愛紗は「ダイアが解ってるんだ」



友里絵「賢いねー。よしよし」と、ゴールデンちゃんをなでなで。(^^)。



そのうちに、10時35分。


運転手さんがマイクで「立野行き、発車します」と言って

ドアを閉じる。



友里絵たちの他は、おばあちゃんが何人か。



わんこがいるので、にこにこ。


スルメかなにかをあげている。


たまが、よこから。とことこ・・と。来て「にゃ」


おばあちゃんは、にこにこ。スルメをたまにもあげた。



たま、かじかじ・・・・。かみつく。



ディーゼルカーの、エンジンを吹かして。回転が下がるときに

クラッチを変速段に入れる。


車体が、ゆらり、と。揺れて。


ホーンを、ふあん♪。



エンジンが、がらがらがら・・・。と。


走り出すと、すぐにノッチ0。


トルク・コンバータなので、そのまま慣性で進む。


かたこん、かたこん・・・・。




ベル式の踏み切り警報機が、かんかんかん・・・・。


カーブ。


友里絵は「トンネル公園見えるかなー。」



由香は「なんか、遠くに見えるみたいだ」




菜由は、伸びして見たけど・・・見えない。




愛紗は、運転手の動作を見ていた。



信号現示、確認。


踏み切り安全、確認。



前方、確認。



ひとつひとつ・・・。



また、踏み切りを過ぎる。



かったん、かったん・・・・。


景色は、たんぼ。畑。山。


それだけ、なんだけど。



駅にポスターが貼ってあって。

農家のおばあちゃんが、にっこり。


「ただのいなかじゃー。なかよ」


と、書いてあって。


ひろーい、村の景色が写っていた。


そんなことを思い出す、愛紗だったりして。



「ここで、バスに乗れるといいなぁ」


なんて、思ったり(^^)。



運転手さんは、ちょっと観光案内をしてくれたり。

友里絵たちが旅人だとわかって。


「このあたりは泉がいっぱいあってな。お米もよく取れるな。」


ギアを固定2段にし、エンジンを負荷にして降りる。


エンジンが、ごー・・・・と。空回りの音。



♪おてもやーん♪


の、オルゴールが鳴る。

なんか、テープが伸びてて、揺れてる(^^)。

それも、なんか、かわいい。



ーまもなく、見晴台ですーーー。


と、にこやかなお姉さんの声でアナウンス。


のどかな声なので、旅してるなぁ、と・・・。和める。



排気ブレーキを掛ける運転手さん。



エンジンが、ごろごろごろ・・・・。と、ちょっと唸る。



雨は、ぱらぱら・・・・。



「ほれ、あれが泉だ」と、運転手さんが指差す。


田んぼのような、池のような。



「なんか、釣れそうだね」と、友里絵。




運転手さんは「いるかもしれんのー。魚も。まあ、釣りだったら川の方がいいな。

どこでも釣れるな」



友里絵は「いいなー。釣り、いこっか」



由香「またにしよ」



友里絵「股に?何を?」



由香「アホ」(^^)。



しゅー、しゅ、しゅ・・・。

速度が落ちて、機械式ブレーキを掛けた。



ホームは、屋根もないけど。一応駅。


でも、誰も居ない。

居なくても、停まるのが鉄道。


路線バスとは結構違うな、と愛紗は思う。




止めて、ドアを一応開く。


降りる人がいるかもしれないから。



でも・・・高森から乗って、つぎで降りる人はまあ、居ない。



歩いても来れるし。



運転手さんはマイクで「発車します」と、言って

ドアを閉じた。





小雨に煙る南阿蘇村。


「いいとこね」と、菜由。



愛紗「うん」と・・・。

景色をのんびりと眺めた。










「こまったなぁ」と・・・・。

人吉、日光家から出てきた恵。



道がわからないので、適当に低い方を目指して歩いたら


ため池(笑)。



曲がり角を間違えたかな、と・・・


反対の方向に向かうと・・・。どんどん山の中に入って行って。


崖の上(^^)。




よーく見ると、崖の下に鉄道のレールがあるようだ。



「・・・っても、崖を下るのもちょっとなぁ」




道らしきものがあるので、崖沿いに降りて行ってみると

林の中。昼なお暗い。



「なんか・・・気味が悪いわね」と、見回すと・・・。



ばさばさばさ・・・と、何かが飛び立った。



「吸血こうもりかしら」


と、怖くなって。もときた道を戻った。・・・はず。


が。



どこかのお墓に出たり。


しばらく、誰も来て居ないようで


荒れ果てた。


コケが生えてて。なんか傾いてる。



「怖いよー、誰かー、助けてー」




と、叫ぶ。


何かが茂みで、がさがさがさ・・・。




「ひっ!」と、恵は怯える。



・・・・熊だったら・・・死んだまね、死んだまね・・・。(^^)。




・・・・嘘ついたから、天罰かな(^^;と、恵は思った。





「神様、仏様・・・。」

都合のいい時だけ信じる(笑)。





真由美ちゃんは、観光列車に乗って吉松へ。


雨で、木曜なので

ほとんど乗客はいない。


地元の人ぱっかりなので、観光案内も

ワゴンも、仕事はなし。



記念撮影のサービスも、まさか、と言う感じ。



それで、暇(^^)。



景色を眺めて・・・・。ふと思う。



「お兄ちゃん、どこ走ってるのかな?明日は明けー公休なのかな?」

とか。



「友里絵さんはどうしてるかなー。阿蘇山行ったかな」



とか。



「恵さんは、温泉でも行ったかな」


とか。


いろいろ・・・・。のんびり。(^^)。





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