第213話 せせらぎを聞きながら

真由美ちゃんは「機関士職は・・・あんまり、よく知らないです。

わたしがなれるとは思っていませんでしたし」と。

友里絵が持ってきたマットレスを、広げて。「4つ・・・あ、もうひとつある」


菜由「敷けるね」割と広い部屋だ。12畳だろうか。




友里絵は「いいの。一緒に寝よ。真由美ちゃん」

真由美ちゃんの方を見て、にっこり。



真由美ちゃんは、こくり。



由香「襲うなよ」



友里絵「するかっ!」


真由美ちゃんは「修学旅行みたい」


愛紗は「楽しかったね」



そういいながら、空想は広がる。庫内手から始めて・・・機関車の点検から。

機関助士の試験を受けて。

やがて、機関士。

・・・なんとなく、バスにも似ているな、とは思う。



真由美ちゃんは「電車の運転士は、車掌からなるんですけど・・・。

女子運転士は居ますね」

敷き布団を広げて。丁寧に、埃が立たないように。



「でもさ、乗務員宿泊所も、男女別だろね」と、由香。



真由美ちゃん「そうだと聞いています。駅のもそうですし。

女子は、22時ー4時は乗務禁止ですから」



愛紗は「でも、九州は日の出が遅いから、朝は4時だと真っ暗ね」


真由美ちゃんは「はい。私は、家が近いからいいですけど・・・4時、と言う

仕業は無かったですね、いままで。」


菜由は「お風呂あるのかな」


真由美ちゃんは「駅には無い所もありますね。大抵、この辺りだと・・・

駅のそばにありますね。温泉」


愛紗と菜由も、一緒に、掛け布団を広げて。枕を出して。




友里絵は「まあ、そうなってもさ・・・真由美ちゃんも乗務員で、愛紗も

乗務員だったら。結局バラバラだ」


真由美ちゃんは「そうですね」と、笑った。




由香「ムッシュ・ばらばらの話しがここまで長くなった」


友里絵「楽しいでしょ」



菜由は「まあ、仕事じゃないし」



愛紗は「お仕事してれば、そうよね。会社員でも、旦那さんは朝早く出て

夜遅く帰ってくるし」



友里絵は「だから、あたしはお店をやりたいって思ったのね。ふたりで」


由香「ああ、コンビニに居た頃ね」



菜由「まーあ、でも、一日中一緒じゃね・・・。」



愛紗「飽きる?」



菜由「いや、気を使わせるのもかわいそうだし、気を使うのも疲れる」



友里絵「まあ、お店ならね」



由香「そうでもないけどさ・・・もし、経営が悪くなれば。ちょっとしたことで

喧嘩になったり」



友里絵「タマちゃんだったらそんなことない」



菜由「ああ、あの人ならね・・・でもさぁ、あの人、お店向きじゃないでしょ」



友里絵「そう。それで自由にさせたの」



由香「あんたの飼い犬かいな」



友里絵「拾っといでー・・・・わんわんわん・・・。」

と、投げるモーション。 四つんばいでかけるマネ。舌だして。



「遊んでないで寝よ」と、由香。



菜由「どう寝る?」


友里絵「川の字」


由香「それは三人まで」


友里絵「あっそっか」



由香「国語赤点だからなぁ」


友里絵「いいんだよ、出れば」


由香「出て無いじゃん」


友里絵「そっか。ははは」


菜由「ほんじゃ、窓の方から愛紗で、わたし。由香で、真由美ちゃんと友里絵。」



友里絵「お嬢さん、初めて寝ますね。」


由香「・・・・まあ、そうだが。」



真由美ちゃんは、くすくす。「はい。」


友里絵は「いたくしないから」



由香「よせって、そういうヘンなギャグ。」



真由美ちゃんは「でも・・・ほんとに、みんな国鉄だったら、楽しいでしょうね。」



友里絵は「ほんとだね。車掌区で一緒に点呼受けたりして」


由香「バスみたいね」



真由美ちゃん「ガイドさんも点呼あるんですね」



菜由「あるねー。お酒残ってると乗務禁止」



愛紗「そんな人いたの?」



由香「居たみたいよ。」



菜由「明日も旅かー。」


愛紗「飽きた?」



菜由「飽きたって言うか・・・こんなに楽しくていいのかって思う。

普段、わたしは家にずっとだし」



友里絵「石川さん、ちゃんと食べてるかな」



菜由「大丈夫じゃない?あの人マメだから」



由香「ゴジラが来てたりして」




菜由「まさか」



友里絵は、そのセフレの話をしようと思ったけど

真由美ちゃんに聞かせたくなかったから(笑)止めた。




由香「さ、寝よ」



友里絵「そだね」



菜由「じゃ、消すよ」



真由美ちゃん「おやすみなさい」


友里絵「おやすみ」

由香「おやすみ」

愛紗「おやすみ・・」



友里絵と真由美ちゃんは、姉妹のように

寄り添って寝た。


愛紗は、大きいので(^^;

ひとりで、窓際のお布団で。

菜由も、その側で。

由香は、真ん中。



夜になると、この宿の側は

道路がないから・・・・。

川の音が聞こえる。


流れのゆっくりした川だけど、それなりに・・・音がする。



時々、鉄道の音が遠くに。


かたかたん、かたかたん・・・・。


ローカル線なので、夜行列車は通らないから

深夜は静かだ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る