第212話 制限110、進行!

友里絵は、真面目な顔をして

「自然界に善悪は無い。しかし、正義は存在する。それは生である。」


菜由「かっこいー。」と、拍手。


友里絵「愛と正義の使者!美少女仮面!」と、右手をあげて。



由香「だーれが美少女だっての!」と、友里絵の後ろ頭を、ぺち。



友里絵「はは、寝よっかな」と、笑って。



愛紗「今の言葉は・・・。」と、ちょっと思い出すように。




由香「タマちゃんでしょ。」

と、にっこり。



菜由「だれだっけ。ローレンツだっけ」

と、思い出すように。


愛紗「そうかも」



友里絵「さーすが、高学歴芸人」

と、にっこり。押入れを開けて。座卓を畳んで、壁に立掛ける。


由香「誰が芸人だっちゅーの」と。

と、前かがみになって。


友里絵は「ふたりでやんないと」

と、隣に並んだけど・・・・「あたしらだとダメだね。薄いから、おっぱい」


わはは、と、みんな笑う。



真由美ちゃんは、浴衣の前を直して「きょうは楽しかったです。」と。



愛紗は「突然で、ごめんなさいね・・・と、なんでわたしが代表なの?」



菜由「一番デカイから」



友里絵「ゆけ!ジャイアント・ロボ!」


由香は、両手を上げて「ま”」


菜由「ははは。懐かしい。」


真由美ちゃんは「兄が見てました。夕方」



友里絵は「真由美ちゃん、おにーさん居るの?」



真由美ちゃんは、こっくり「ハイ。機関士です。熊本機関区の。貨物が多いですね。」


由香「いーなぁ。優しいお兄さんが居て」


真由美ちゃん「ハイ」


菜由は「なんで優しいって解ったの?」



由香「だーって、優しくないと。こんなに可愛く育たないもん」



友里絵「わたしへの当てつけか?」


由香「こーなるワケ」




みんな、ははは、と笑って。



由香が「座卓が倒れると危ないよ。ドリフのコントみたいになっちゃう」


友里絵「ざーんねん。狙ってたのに」



菜由「やるだろうと思った」



由香は「友里絵は押入れに寝れば」


友里絵「なんで?」


由香「ちっちゃいから」


友里絵「わーん、暗いよ狭いよ怖いよー。」



菜由「どっかで聞いたなそれ」



真由美ちゃん「ラムちゃんでしょう」



愛紗「あ、そうだそうだ!思い出した。メンドーくん」




由香が「友里絵はきんどーちゃん」


友里絵「由香はひざかたくん?」



由香「ちょー!」と、カマキリみたいな手つきで。



菜由「なはは。なつかしいなぁそれ。」



真由美ちゃん「兄が読んでました」


愛紗は「お兄さん、いくつ上?」


真由美ちゃんは「えーと、6つかな」



菜由「かっこいいだろね。真由美ちゃんのお兄ちゃんだと」




真由美ちゃん「いえ、それほどでも・・・・。」



友里絵「でも機関士じゃねー。あの制服着て、機関車乗ってんじゃ。

だいたいカッコイイよ」



真由美ちゃん「そうかもしれません」



友里絵「愛紗、それにしなよ」



愛紗は「それにしなって」(^^;


菜由「苗字もあんまり変わらないし。日生=>日光。」



友里絵は、押入れからマットレスを出しながら

「そーすればさ、バスの運転なんてしなくていいじゃん」



愛紗は、笑いながら「あは。そんな事で決めていいの?」


友里絵「いいの」


菜由「そーすればさ、真由美ちゃんはお姉さんが出来るし。愛紗も

家に連れ戻されずに済む」



愛紗「お兄さんの気持もあるし・・・・。」



友里絵「ジョークジョーク」手旗信号みたいに

J・O・K・Eって。(^^;



愛紗「なんだ」



菜由「真面目に考えてた」



真由美ちゃんは「ホントになったら、楽しいです。」



友里絵は「おにーちゃん恋人いないの?」



真由美ちゃんは、真面目に「はい。機関車乗りだし。そんな時間はないです」




由香「よーくリサーチしないと。現地妻がいっぱい居るかも」


菜由「現地妻って」(^^;



愛紗「そんな時間ないんじゃない?」



真由美ちゃんは「はい。だいたい、九州の中の往復ですし。機関車は2時間交替なので


・・・。夜勤があっても、乗務員宿泊所ですね」



愛紗は、なーんとなくだけど・・・そういう仕事は魅力的だなぁ、なんて思った。

機関車に乗って走る自分を夢想した。


紺色の制服を着て。

漆黒の闇を見据えて。

信号確認!

前方よし!


速度110!進行!


なーんて、白い手袋でMCを握って。



そーんな事を夢想していた。





ほんの少しの間の空想。


友里絵は「まーた、オトメちゃんになってるの?」



真由美ちゃんは「オトメちゃんですか」



友里絵「時々なるの。なんか、オトメチックろまんに浸って」



愛紗「そうじゃなくて」


由香「なに?」



愛紗は「わたしが、機関士だったら・・・って思ったの」



友里絵「ああ、そういうロマンね。アリじゃない。やってみたら?」

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