第150話 パレード

その辺りは野田も呆れていて「オマエは社長か」と言っていたが・・・。


相手が誰だろうと、悪い事は、悪いこと。

バスの運転、と言う仕事は

それを蔑ろにしてはいけない仕事なのである。





愛紗と菜由を見送った305号室・・・。


由香は、フランスパンを食べていて。



「んでもさ、自由行動って、あんた、タマちゃんにもそう言ったんだよね」

由香は、パンをもぐもぐ。


パリジャンは、ふつうのフランスパンより柔らかいので

食べやすい。



友里絵は「うん。だからー。今でもそう。あたしのもんだもん。」と、にこにこ。


「自由にさせてあげないと。かわいそーだもん。」



由香「いい子だねー。ゆりえって。それだと、タマちゃんも忘れないね。」



友里絵「いまだってそーだよ。忘れてないよ。」



由香は、そっか。と、納得。


「いつか、いいことあるといいね」

少し傾きかけた陽射し、柔らかい。



遠くの海も、きらきら。


「いい旅だね・・・」





愛紗と菜由は、温泉で温まったので



「きれいにしようかな」と。


緑色のお湯から出て、大きな岩を組み合わせて作ったような

洗い場に、ふたり。


月曜とあって、人は全く居ない。



「これで潰れないのかなぁ」と、菜由。



「国営だもん」と、愛紗。



そっか、と、ふたり笑う。





元々、鉄道と郵便は

発展途上国の、主に過疎地の雇用を作るためのものだったから

採算よりは、住民サービスであった。


国のお金で、雇用を作ったから

過疎地にも、都市が作られたりした。


今では、もう役割を終えたと言う人もいる。


でも、観光地や過疎地では

まだまだ必要な、雇用産出である。





「あのおじさん達、また泊まるのかな?」と、菜由。


「おじさんなんて言ったら」と、愛紗。


ああそうか、と菜由。「でもさ、就職に便利かもね。」



愛紗は「コネって、なんか・・・ね。」



菜由は「でも、大事だよー。伯母さんだって言ってたじゃない。信用だって。」


愛紗の伯母が、国鉄に入るなら親戚筋が入りやすいと言ったことは

真実だから。




友里絵たちが入ってきて「おふろ、すいてるね」



「のんびりできた?変なのがいないから」と、由香。



「あんたも十分ヘン」と、友里絵。



「ははは。せっかくの旅だもん、羽目外してもいいじゃん」と、由香。



愛紗は気分が明るくなる「やっぱり、いいね、4人の方が」



友里絵は「そう?邪魔じゃない?」



菜由は「うん。あたし達だけだと、なーんか暗くなる」



由香は「まー、あたしらはホラ、芸人だから」



友里絵は「誰が芸人なんだって」


由香「あんたが芸人!」



友里絵は「♪あんたが!芸人ー♪」と、ヘンな歌をまた歌って。



由香「いいから早く脱げ」



友里絵は「いやっ。脱げなんて。そんな、オトメちゃんはずかしー。」



由香「誰がオトメちゃんだよ」と、はたくまね(^^)。




「ちゃんと洗ってから入れよ、ティラミスが流れてくから」と、友里絵。



「食ってないよ、きたねーなぁ」と、由香(^^)



友里絵たちが来たので、また、ゆっくりお風呂(^^)



「きょうは砂湯はいいね」と、菜由。



「また挟まっちゃうし」と、友里絵。


「股挟まったか?」と、由香。



「いやらしーなぁ。股になんか挟んでないよ・・・なにを?」と、由香。



友里絵「アレ」


由香「アレかい?」



友里絵「さて、アレとはなんでしょー。クイズ・だーびー!・・・・石川さんに1000点!」



由香「オマエが荼毘に付されろ」




菜由「砂でしょ」



友里絵「ひっかかんないなー。」



菜由「ふっふっふ。主婦をなめんなよ」



由香「あーなつかしー。なめ猫」



友里絵「あれ、持ってたな。ステッカー。お兄ちゃんがもってっちゃたけど。」



菜由「お兄ちゃんがいるんだ」



友里絵「うん。犬が好きで。マドンナちゃんとミッキーちゃん、飼ってて。」



愛紗「マドンナちゃんか。音楽好きなんだね。」



友里絵「うん。」



菜由「なんかつながってるね。音楽とか、ペットとか。」



友里絵「そだね。あのコンビニでも、よく音楽の話したなぁ。

「パレード」って曲が掛かった時に。つじあやのさんの。

タマちゃんは「シュガー・ベイブ」の話しをして。

歌ってくれたっけ。一緒に歌ったな。」



由香「暇だもんね、あの店」



「ほとんどデートだね」と、菜由。




由香「そうそう。だから、あの店でふたり番だと

みんなカップルになっちゃうんだ。」



菜由は「由香ちゃんは?」




由香「あたしは、ホラ、学校があったから。ふたり番って無かったの」



愛紗「そっか。」




友里絵「でも全員でもなかったね。最初、タマちゃんとふたり番だったの

麻美ちゃんだったけどさ。」



由香「ああ、そうか。そうかもね」



友里絵「結局あたしが奪った」




由香「略奪愛かい」



菜由「パワーあるなぁ」


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