第142話 カフェのひととき

「ここです」と、飼い主さん。トイプーちゃんも「きゃんきゃん」と、嬉しそう。



ドアは開いたまま。



「こんにちはー。」と、友里絵。


「誰もいないみたい」と由香。



「まっくろくろすけでておいでー。」と、友里絵。


みんな、笑う。「そんなのいないよ」と、菜由。



飼い主さん「かわいいのね、ほんと」と、にこにこ。




「いつも、開いてるんですか?」と、愛紗。


飼い主さんは「誰か、ご近所さんがいるから。それに・・・あんまり

平日は人が来ないし。」



「のどかだなぁ」と、由香。



「いいなぁ」と、菜由。




「じゃ、なにか持ってくるわ」と、飼い主さん。



「おかまいなくー。」と、友里絵。


「なんでもいいのよ」と、飼い主さんがにこにこするので、友里絵は


「じゃーねー。ぶたのまるやき」


飼い主さんは笑って「それはないわねー。」



カフェは、静か。

商店街の中だけど、内装は木でできていて

ログキャビンみたいに見える。



「おっされー。」と、友里絵。


「それなに?横須賀弁?」と、菜由。



「えへん」と、友里絵。「ちょっと前なら・・・横須賀ベイベー♪」と、ヘンな歌をまた歌う。



由香は「ほっといてください、勝手に遊んでますから」と、にこにこ。



「手が掛からない子ね」と、菜由もにこにこ。



「ひとり遊びね」と、愛紗。



「いつもひとりで指遊び」と、友里絵。



「バカ!よその人がいるんだから!」と、由香。



幸い、飼い主さんはキッチンへ行っていて、聞いてなかった(^^)。





愛紗は、なんで指遊びがヘンなのか、よくわからない(^^)。








「それじゃ、池田湖へ行ってきたの」と、飼い主さん。


みんと一緒に、紅茶とケーキ。


ミルクティ、レモンティ、ストレート。いろいろ。


愛紗と友里絵はミルクティ。


由香はレモンティ。


菜由はストレート。



紅茶の香りが、なんとなくゴージャス。


テーブルは、マホガニー。結構重そう。




ケーキは、シフォン、いちごショート、モンブラン、エクレール。

ミルフィーユ。シュークリームもある。



「お菓子っていいね」と、菜由。

「ほんと、ふんわりする」と、愛紗。


「なんか、わるいなー。もらったお花で」と、友里絵。



飼い主さんは「いいえ。とっても嬉しいわ」と、にこにこ。「あ、お名前はなんて?」



友里絵は「あたしは友里絵、こいつは由香」


由香は「こいつかい」



友里絵は、ははは、と笑って「落ち着いてる子が菜由、上品な子が愛紗」



飼い主さんはにこにこ「いいお名前ね。私は麻里恵です。よろしくね」



「友里絵に似てるね」と、由香。「すみませんね。ヘンなのが似てて」



友里絵も笑う「すみませーん」


麻里絵は、いえいえ、と、掌を振って。

その仕草も、なんとなく品位があって。



「池田湖、楽しかった?」と、麻里恵。



「はい。イッシーちゃんに会いに」と、友里絵。


「会えた?」と、麻里恵。



友里絵は首振って「いなかったー。でも、骨めっけた。」



麻里恵は「骨?」と、どっきり。



由香は「あ、なんだか砂浜掘ったの、友里絵が、そしたらなんか出てきて。」


菜由は「ほんとだったら大発見だね」


麻里恵は「以前にも・・・どこかの大学で何か、それらしい物を見つけたとか・・・。」



友里絵は「おー。大発見。億万長者!」と。



「なんで億万長者なんだよ」と。由香。



「ミリオネアね」と、菜由。




「さぁ、あなたもチャレンジ!クイズ・ミリオネア!」と、友里絵。




「そっちに来たか」と、由香。



「池田湖で見つかった骨は、イッシーのものでしょうか。会場に聞いてみましょー。

50:50!」と、友里絵。



麻里恵「声も似てるわ」と、笑って。




「さあ、どちらでしょう。日生さん!」と。


愛紗は「え、わたし・・・・?じゃ・・・・〇」



友里絵は、顔マネ。日焼けのおじさんの四角い顔の。



その顔が可笑しいので、麻里恵も笑う。




数秒。



友里絵「ざんねーん!!」(^^)。



由香「ひとりでやっとれ」



菜由は「やっぱ、あんたら芸人になんなよ。」





友里絵「イッシッシ」


由香「それはさっきもやったぞ」


友里絵「はっぱふみふみすらりべち」


由香「ああ、そっちのイッシッシか」



愛紗と菜由には解らないけど・・・麻里恵には解るみたい。にこにこ。



友里絵「映画タレントにも親戚がおってな」


由香「ほうほう」


友里絵「トリビア・イッシー」


由香「それ、ハッセーちゃうか。ホンマにアホやな」




友里絵「ルパン♪ルゥパーン♪」


由香「それはサンセー」



友里絵「サンセーのはんたーい」



由香「それはパパやろ。バカボンの」






友里絵「日本人にもおったな」


「だれね」と、由香。   なぜか関西弁(笑)。



友里絵「佐川イッシー」



由香「それヤバイでー」



友里絵「イッシーどす、イッシーどす。石とちゃいまんねん。イッシーどす」



由香「ヘンな舞妓はんやな」



友里絵「イッシーの上にも三年三月」




由香「なんかちゃうでー。」



友里絵「クリーム煮込み好きだー。」


由香「それチャウダーやろ。ほんまにアホでんなぁ、あんた。」


友里絵「ほっといてんか」




トイプーちゃんもにこにこ。











「仲良しで旅行なんて、いいわね」と、麻里恵は楽しそう。「わたし、ひとりっ子だから。

あんまり友達もできなくて。きょうは楽しいわ」と。



友里絵「良かったら、ずっと、お友達になってください」と、名刺を出した。



麻里恵は「面白いのね。名刺があるのね」と。


愛紗はうらやましいな、と思う。


自然にお友達がいっぱい、で。





麻里恵の出した名刺、ふつうのビジネス名刺だけど


友里絵は「へー、専務さん!へへー」と、深くお辞儀。

「皆の物、図画たかーい。」



由香は「字、違うぞ。まったく中卒はなぁ」


友里絵「今は専門卒だって」



ははは、と、笑う、みんな。





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