第100話 560A、熊本、定発!

ladies , and gentlemen. this is a "tubame-superexpress" 'bound for nishi-kagosima.


we will soon brief stop "kumamoto".

preese change to "kagoshima-line" , "houhi-line". thank you.


と、英語のアナウンスに続き、中国語、韓国語のアナウンスが入る。



「国際的だなぁ」と、由香。



「近いものね、大陸と。」と、愛紗。


「わたし、上品じゃないよー。」と、にっこり。



由香は「すまんすまん。でも、あたしら不良あがりからすると、上品に見えるんだ」



婦人は「みんな上品よ。わたしから見ると。」


友里絵は「そう?なんで?」


「ちゃんとしてるもの。」と、婦人はにっこり。そして、「下品って言うのは、優しさがない、って

人の事だから。みんな、優しいわ。」




「そーなのなかぁ。アレ、言葉へんになった」と友里絵。



みんな、笑顔。




「でも、なんか感動したー。嬉しいです。」と、友里絵。



「タマちゃんもそう言ってくれたんだよね」と、由香。

「ああ、タマちゃんって言うのは、私達の友達で。コンビニでバイトしてたときに

知り合った人で、さっきのお話の」。



と、婦人に説明すると、婦人はにこにこして。


「いい方ね、とっても。」




お弁当を食べちゃって、友里絵はその、田舎ふうのお弁当の葛篭を

楽しそうに「これ、ほしかったんだ。」と、にこにこ。



「思い出になるものね。」と、婦人。



「あとのおべんとう包みは、捨てるなよ、車内に」と、由香。



「わかってるって。」と、友里絵。


バスガイドをしていると、観光仕業の後に

その、掃除と後片付けが大変。


そういう経験から、思う。



「ちゃんと食べろよ、まったく」とかいいながら

食べかけのお弁当を持ち帰らずに捨てる乗客の事を、ちょっと批判したりしながら。




婦人はにこにこ「いい子ね、みんな。きっと、いいお嫁さんになれるわ」



菜由は「わたしは、もうなっちゃったから終わりー。」


みんな、笑う。



友里絵は、「愛紗はね、その『お嫁さん』になる前に、バス・ドライバーになろう!って決意


したの。」



婦人は「それは勇ましいわね」




愛紗は「そう思われますか?」



婦人は「はい。危険も多いですし、世の中にはルールを守れない人も居ますね。

そんな時、どうしても腕力がない女性は不利ですね。」



愛紗は「そうですね・・・・。」と、思慮顔。










つばめ560号は、静かに熊本駅を出発する。






「あたしらもね、ドライバーになろうと思ってます!」と、友里絵。



「それは勇ましいこと」と、婦人は笑った。そして、


「その、お友達ね。タマちゃん、と、同じ仕事をしたいの?」



友里絵は「あたしはそうー。でも、もう辞めちゃったの。」



婦人は笑って「それは残念ね。それで、目的が無くなっちゃったの。」





愛紗は、ひとりで思う。


それだけじゃないような・・・そんな気もする。 と。



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