第610話 life

めぐは、落涙する。


まるい頬を伝う、透明な涙滴は



魔法使いの御主人様の心をも打つ。




「優しい子だね、君は。」





めぐは、俯いてかぶりを振る。


さらりとした黒い髪が、揺れる。




「わたしが、いけないんです。恋人のいる方を

好きになってしまって。



それで、あの方が魔法使いで無くなってしまうなんて。




魔法が使えなくなったあの方を、御主人様は

どうなさるのですか?」と、めぐは

見上げるように。




本来は、消えて無くなってしまう。



元々、魔法使いの弟子なのだから。



でも.....





元々人間も、愛されてこの世に生まれる。




それは、神様が授ける命。




神様か。



ルーフィの御主人様は、なんとなく

意味が分かる。



「そうか。」ひとり合点して。





「ルーフィは大丈夫さ。ひとり立ちできる。

」と、めぐに告げた。



その理由までは語らず、そして

「アメリカンの為にわたしの魔力を使おう。」



それで、ルーフィが幸せになれるなら、と

御主人様は、心の中で呟いた。



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