第406話 boy's love girls love

ミシェルは、列車が止まっている事に気づいた。


「あれ?なんだろう」と


ベッドの枕元にある、おおきな窓から

外を見たけれど


農村の中を走っていたのだろうか、明かりが

なにもないので



よくわからなかった。



けれど、止まっている事は


揺れないので、わかる。





駅じゃないので、何かあったのかもしれない、と



壁についているラジオのスイッチを入れると




アナウンサーが淡々と「地震がありました」との


一報。






「地震」。



ミシェルは思う。



あんな、罪な夢を見たから


罰があったのだろうか、などと



ミシェルは敬謙な男の子である(笑)。




でも、好きな女の子を愛したいと思うのは


人間らしい行動。




それを知らないのは、お母さんやお姉さんの

影響かもしれなかった。





おじいちゃんも、機関車乗りだったし


あんまり、男としてのミシェルの成長には

心を配るゆとりもなかった。





人間は、日々の暮らしから

経験を記憶して


行動様式を作っていく。




お母さんやお姉さんは、女としての感覚で



ミシェルに関わっっていくから



それに、ミシェルが罪悪感を持ってしまったりする。




でも、愛するのは悪い事ではないのだけれど

地震で列車が停まってしまったのに

気づいている乗客は少なかったから

ミシェルや、めぐたちは


そのまま、個室の中で眠り続けていられた。



案外、揺れない列車の方が


よく眠れたりする。



そう、ミシェルが夢を見たのも

眠りが浅くなった時、列車が揺れたせいで


その、体にかかる揺れで

物理的な刺激が、愛の営みを連想させられてしまったのも

また、少年ミシェルの仕方ないところでもあるけれど


それは、ミシェル、の人格には関係なく


生き物としての存在の上に人格が乗っかっているから(w



コンピュータで言えば、ブート・アップしてシャット・ダウンするのは

システムがあり続けるために仕方ないのと同じで


その上に、知性たるプログラムがあり続けるために

仕方ない存在であったりする。




複数のプログラム同士が、コンピュータ上で競合するように

生き物としての人間も、競合しあう事があったりするけれど


それは、生き抜いて来た歴史のようなもの。




少年は、まだその入り口なので歴史に翻弄されるけれど


いつか、老年になった時にその構造を意識して

平和に、競合をせずに共存するように成熟するのだ。



それは、生き物としての役目を終える頃に初めて出来る事なのだけれど。

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