第343話 beside

もし、魔法が使えなくても

たぶん、助けただろうと

めぐは、思う。



いつだったか、クリスタさんが


めぐの事を、銃弾から守る為


身を呈した。



その時も、めぐは

時間を逆転する魔法で、銃弾を

発射前に戻したり。



それで、クリスタさんが助かったのに。



神様は、そんなめぐの

魔法が、未来を変えてしまうから



いけない、と言うのだろうか。



めぐは、そう思った。



矛盾なんじゃない?と。





神様だから、間違えない訳でもない。



すべての世界を掌握するなんて、無理だ。







そんな、若者らしい主張を

持って



めぐは、恐れなく神様に反発した(笑)。






もちろん、それを神様は


認識した。


「まったく、あのめぐと言う娘といい

クリスタといい。


頼もしい限りじゃの」




むしろ、その

めぐの主張を、愛らしく

思う、神様だった。



神様とて、愛らしい女の子には

勝てない(笑)。





見守り、困ったら助けてあげるのも

神様の仕事だろう。





そんなふうに、

神様は思った。


別に、誰も困る訳でもないが。



「世界が複雑になりすぎると

こんがらがってしまうがの」と


神様はつぶやいた。





ついったーに、ではないが(笑)。



人間は、ずっと

3次元的に、規則的な時間の流れに沿って


生活してきて、それで済んでいた。



それが、文化が出来て


例えば、狩猟採集を行うようになった。


農耕を行った。



その対価を、交換する。



貨幣が興る。




そうすると、リアルな物と違う貨幣、と言う

現実と違う価値観が生まれたりする。




例えば、昨秋に収穫した農産物を

貨幣にして貯蓄する。


また、来秋に収穫が起こる、などと

予測するようになると




時間の流れが、イメージの中で

現実と違って来る。



もっと、近代になって



言語が興り、書物ができたりして

架空の世界を、書物が持ったりすると



(この文章もそうだけど笑)




架空の世界、つまり別次元の世界を

誰もがイメージできる事になる。






それら全てが、現実の

時間の流れと違う存在だし


違う価値観が、いろいろ起こる。




ひとによっては、現実の世界より

本の中がいい、映画の中がいい。



そういう感覚も起こる。




そんなふうに、時間の流れ、現実の3次元的

な速度(地球の自転に沿っているので遅くはないが笑)


に、従うのは難しい事もある。



記憶の中では、いつでもどこでも

好きな世界へ跳べるから。




そういう世界感覚は、以前は

書物を書ける人々など、一部の者が持つに限られていた。




それを、解放したのが

コンピュータ通信、ネットワークであるので



いつも、好きな世界に浸りたいと言う

欲求が



現実の、3次元世界の時間の流れを

蔑ろにする傾向、それは




このお話の中で

神様が憂慮する「こんがらがる」「うっとうしい」時間感覚は




いま、ふつうの人々の身の回りで

起きてる(笑)。

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