第342話 crysta@angel.com

神様と言えども

例えば、ひとの恋心までは変えられないし(笑)。



めぐの性格は、その

魔物に襲われた記憶のせいで


やや、以前は慎重に過ぎるおとなしさで


今度の人生では、ちょっと自由奔放に過ぎるくらいの


可愛い女の子になった。




なので、以前は

図書館の司書主任さんの甥っ子さんは

そんな、おとなしやかな

めぐに恋していた。




でも、後の人生では

彼は、めぐに興味を覚える事もなく(笑)

寧ろ、分身のような

天使、クリスタさんに

その、かつての彼女の幻影を見たりして。

(実際、外見も似ているのだが笑)。




そんなふうに、男の子たちの人生も変えてしまっている。





もちろん、リサの弟


ミシェルの恋心にも

影響があっただろう事は

想像するに容易い。




以前、ミシェルの話など


リサは、一言も言わなかったのだから。









「めぐさんは、そう言っています」と


朝になってから、クリスタさんは


神様にメールをしたためた。




mailto:god@heaven.com



from

crysta@angel.com




[souiu koto desu]




(笑)。




神様は、どのみち、知っておられるのだから


メールする事はないのだけれども。




そこは、クリスタさんはそつのない天使さんである(今は違うみたいだけれども。笑)


めぐは、夢のなかで

クリスタさんの言った、神様のお告げ(笑)に


不条理を感じていた。



「目の前で困ってる人がいるとき、助けるな?って言うのは

できない。」



それはごもっとも。


めぐは生きているから、同じ人間が

例えばスクーターの少年が電車にぶつかりそうになれば



ぶつからないように。



そう思う。



それは、同じひとだもの。



生き物同士、助け合うのは


ずーっと生きてきたんだもの。あたりまえにそう思う。





のは、もちろん、生物として群れを持った霊長類ひと科だからで


群れの仲間と共存して進化してきたから。



そういう暮らしが、記憶に残っているプログラム。





その中で、助けあいながら、競い合って生きていく。

より、良い暮らしの為に。




群れを持った生き物は、皆、そういう知性を持っている。




知性を持つ以前なら、縄張りを持って

その中に入るほかの生き物を遠ざける。



猫などはそういうタイプで、もちろん人間も

そういう性質が深い、遠い過去の記憶に残っているから




人間同士でも、仲間でないと縄張り争いをしたりする。





犬くらいになると、知性があるので

犬同士では、そんなに競い合いはしない。


挨拶、と言う文化でドメインを共有する。




植物くらいまで過去の記憶に遡ると


同じ種でも、競いあうが

それは、移動が出来ないためで


遠くに行ってくれ、と言う意思である。




もっと過去、微生物くらいになると



そういう意思すらなく、漂っているだけだ。






そんなふうに、過去の記憶、生物的に

助けようと思う基本があって




たまたま魔法を使えるから、助けた。



それだけのことなので、めぐが考えてそうしているわけじゃない。





なので、神様のように


そういう生理がない存在には、それもまた理解できない(笑)





自分が生き延びなくていい、そういう存在には



助け合う必然もないのである。









めぐは、「そんな魔法なら使えなくていい、魔法の継承者なんて

ならない」と.....。



そう思う。それも当然だ。



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