第339話 かわいい神様

「はい、お蔭様で恙無く」と


天使さんだったクリスタさんは

丁寧にご挨拶。



「うんうん。それはよかった、よかった

。」




あの、地獄から舞い戻った猫も元気か、と



神様は、にこにこしながら。




はい、と、

クリスタさんもにこやかに。






「それは、よかった。ところでな。今日は

その話ではなくて。


以前は、お前が宿っていた、あの娘の事だが


」と



神様は、率直に言う。



隠しだてする必要もない。


損得など、神様や天使さんにはありえないのだから。




「めぐさん、ですね。」と


クリスタさんは、微笑みを絶やさず。






神様は、うなづいて

「うむ。あの娘は、魔法の使い道を


よく考えておらん。


なぜ、魔法使いになれたのか?



どうして、魔物から

護って貰えたのか、とか


何も覚えておらんから当然だが、


よく理解しておらんようなのだ。




それで、時空間の多重は増えてしまう。



別に悪い事ではないが。



あまり複雑になると、エネルギーをそれに

費やしてしまう。



エコロジー、が

このところの流行りだしな」と


神様は、ちょっとユニークだ。



(笑)。







「めぐさんにお会いになればよろしいのに」と


クリスタさんは、当然のように言う。







神様は、ちょっとどっきりしたように

(笑)


「いや、わしは、若い娘は苦手でな」と

神様は、少し赤くなって言う。




クリスタさんは、そういう神様は、


なんとなく人間っぽくて可愛い、と

思ったりしたが


それを表情には出さず

「そうですか」と


平然と言った。


神様とクリスタさんは、長い付き合いなので

その、クリスタさんの言葉を

なんとなく、神様は

恥ずかしく思う(笑)。



見透かされているのではないか?(笑)とか。




そうは思ったが、一応神様なので


そこは抑えて(笑)。




「あの娘、お前となんとなく似てるしな」と

口調が砕けるあたり。




神様は、めぐの事が

可愛い、と

思っているらしい。




父親のような、そういう視線で


めぐを愛らしく思っているらしい。




「それで、魔物から護られて、

記憶を作り直されたのですか?」と



クリスタさんは、問い掛けた。




もちろん、そうでないことは分かっているけれど。




「いや、あの娘は魔法使いとして

数少ない正統な継承者だ。



護った理由は、もちろんそれもあるが。


この世界で、魔物が狼藉を働いて

しまった、と言う事は

神としてのわしの失敗だしな。



それで、あの娘が命を失うのは、ちょっと困るのだ。



」と、神様はもっともらしい理屈を付けた。


でも、それだけではないらしい、とクリスタさんは思う。






クリスタさんが、天使を辞めて

地上に降りる事を

黙認していたり。



そういうところ、優しい気持ちのある

神様。


それなので、クリスタさんも、にゃごも

幸せに暮らせている。






「わたくしが、お伝えしましょう」と

クリスタさんは、神様にそう言った。




神様は、にっこりと笑った。




「そうか、頼む。

ありがとう、クリスタ。



と、簡潔に伝え、神様は

クリスタさんの夢から去った。




つかの間の出来事である。

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