第319話 反抗期のミシェル

普通列車なので、駅にひとつひとつ止まりながら

のんびりと走る。



「やっぱ、スーパーエクスプレスに

乗り換えようよ」と


れーみぃは、後々ハイウェイパトロールを

白バイでする割に


スピードマニアだ(笑)。




「乗れるよ、特急券買えば」ってリサは


さっぱりと言う。



Naomiはニコニコ。美人顔でそうすると

なんだか、あどけなく見えて、とってもかわいい。


「お客様にその言葉遣いはいけませんよ、リサ車掌」と


真面目な顔のふりして、ジョーク。



「はい、教官」と


めぐはふざける。





「なんであんたが言うの?」と

リサも楽しそう。





「言ってみたかったの。そういうの。

図書館ってそういう制服もないし。

なんか、カッコイイなー、って。」と

めぐは、映画で見た

飛行機のパイロットの話とか、を

想い起こして。





なーるほど。とれーみぃはにこにこ。




制服って、なんかいいもんね。と。



そういえば、あたしたちの学校、制服ないし。と



Naomi。



「なんで、ないのかしら?」と

リサも言うけど



「毎日だと、洗濯大変だし、夏なんか臭いそうだし」と、めぐ。



いやーぁ主婦っぽい、と

みんなが笑うので


めぐも恥ずかしくなった。




「でも、ホント、そうだよね。

制服ない学校でよかった」と

れーみぃも言う。






毎日お洗濯だと、お母さんが大変だし。




なーんて、リサは思う。




4人掛けの向かい合わせシートに

楽しそうに

しているめぐ、リサ、れーみぃ、Naomi。



座席は結構埋まっているけど、座れないほどでもなかった。


土曜日の午前10時くらいと言うと、

遊びに行くひとは、出掛けた後で

割と、空いている時間帯だったりして。



そのへんを考えるあたりは、リサの

鉄道職員の血統、だろうか(笑)。





でも、座席に座らないで


ドアのところで立っている幼い女の子、と


お母さんがいる。




なんとなく、めぐはそれを見ていると



かわいいリュックサックを、その女の子は

床に投げつける。





お母さんは、それを拾って


自分で背負う。




そうすると、その女の子は、


お母さんから


かわいいリュックサックを奪って


また、床に投げつける。






「なにやってんだろ」と

めぐはそれを見て。



リサは「ああ、反抗期じゃない?」なんて


平然と言うので




「経験ありそー」なんて、れーみぃはジョーク(笑)。



あるわけないわよ、と

リサはにこにこ。



「弟がね、いたから」と



リサが言う。





「かわいいミシェルにも反抗期はあったのね」と

Naomi。




めぐは、ふと思う。




いま、ここでいうミシェルは

この時空間では

最初からいたんだろうな、と。







少し前、リサの家に男の子がいないから

Naomiを後継ぎに、とおじいちゃんが考えた

なんて言ってたのは、確か、Naomiじゃなかったかな、なんて

めぐは回想。




その時期、時空間が歪んで

違う世界、につながっていたのかもしれない。




などと、ふと推理するめぐ。


リゾートには似合わないけど(笑)。

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