第307話 Lissa and GranF

その限界が、ミシェルにとっては

3年あと、17歳のあの日に

起こるんだろうけれど。



それは、憧れのめぐお姉ちゃんが

タイムスリップして、18歳の姿で

17歳のミシェルの前に出現したから。



たぶん、14歳の頃に

想ってた偶像。





それに出会えたから。



ふつう、そんな事は起こらないから

たぶん、ミシェルの抑制は

ずっと、変わらない


可愛い少年のまま、青年になっていくのだろうけれど。







その、めぐのタイムスリップは


親友リサの窮地を救うため

3年あとの未来へ行ったから、起きた。





でも、その事を忘れてしまって


これから起こる、リサの窮地を

めぐが、今、救ってしまうと....


タイムスリップは起こらない。








それは、ミシェルの未来も変えてしまうけど

もともと、未来は未定なので



それを知っている時間旅行者めぐだけの物語だった。




でも、めぐもそれを忘れてしまったので



未来は、それぞれに必然性があって

変わってしまう。





それも、仕方ない。








リサにとっての不幸は、その夏休みの終わり頃に起きた。






定年間際のおじいちゃんが、午後に

国鉄から戻ってくる。



もう、おじいちゃんの若い頃情熱的を

傾けた

蒸気機関車は走っていなかったから


スマートな電気機関車に、おじいちゃんは

乗務していたけれど




どことなく、物足りなさを

感じていて。




もう、定年を迎えるおじいちゃんは

後継ぎを、国鉄から求められていて。





思案。







......ミシェルは、機関車乗りには

向いてない。




内務向きだろうと、おじいちゃんは思っていた。




それに、まだハイスクールにも入っていない。





「女の子だが、リサは機関車乗りになれそうだ。」と、おじいちゃんは思う。



電気機関車なら、上等だ。




汚れる事もないし。






そう思った。でも

大学を出てから、上級職員になって

機関車乗りになっても、別に悪くない。



それなら4年後だな、と

おじいちゃんは思った。




郵便局のように、大学卒業でも

現場から働いて、仕事の有り難みを

体感させるのが


国鉄のやり方だった。






それなので、鉄道に向かない人間は

そこで、いなくなる。




公共のために働くのが、国鉄職員である。







「リサの気持ちを聞いてみるか」と

おじいちゃんは思った。

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