第306話 お兄ちゃん

めぐは、そんな意味で

ミシェルの天使だったのだろう。



かりそめの、でもいいし


嘘でもいい。



心の中に、天使がいれば

男の子は、優しくなれる。



女の子だって、心に天使がいれば。


優しい気持ちになれる。





にゃご、みたいに

天使さんを見つけられたら

いつだって、優しい気持ちになれる。



その、誰かを守る為に生きられる。




天使のいる世界を守ろうと思う。




そう、利己が起こるのは

天使さんを見つけられなかった

から。





もっと、天使さんがいっぱいになればいいのに。






どんな、辛い事があっても

天使さんが心にいれば、大丈夫。







めぐは、魔法使いと言う

魔世界に近い人なのに


天使さんが一緒だったせいで

どことなく、行動が天使さんっぽい。




そのせいだろうか。




天使さん、クリスタは

めぐの魔法使いとしての

未来を案じ、自らめぐから離れた。


人間世界では、天使は生きてゆく事ができないから



天使としては辞して、クリスタと名乗り

にゃごの生まれ変わりを見守る。



クリスタさん自身は、何も得はないし

むしろ、損な事。

なのだけど、元々損得と言うのは

人間の概念で


社会生活が、貨幣の流通によって得られる近代社会で



その貨幣を多く得る事が得、と

定義する概念。




だから、天使に損得はないのである。




人間でも、損得に駆られなければ

似た境地には達する事ができるのだけれども。





めぐも、友達のために損得なく働いて。


それは、天使さんっぽい行動だ。





現人神、なんて言うけれど


それは、こういう時に言う言葉である。






ーーーーーーーーーー





ミシェルは、夜になって

リサの言葉を思い出して(笑)


興奮はしないけど(笑)でも


めぐお姉ちゃんのレモンの水着姿は

魅力的だったので(笑)。





「僕は不純なの?」なんて

思ったりする。



14歳の少年である。





心の愛、と言うものが

文学的に、それまで教えられて来たので




どうして女の子を愛すのか?と言う

根源を教わっていないから悩む(笑)。




別にに悩む事はない、と理系の概念で

愛を語るひとが


文学的な愛を綴るひとにいない、と言うだけの事で



元々愛は、生命を守る為の機能だから


ミシェルが、めぐを

愛らしいと思うのは当然である。




不幸にして兄のいないミシェルは、異性である

姉、リサには教える事のできない

男の子としての愛、その真っ只中にいる。



愛する人を抱きしめたい。自然な事だけれども



それを教える事ができるのは


お兄ちゃん、なのだけど。



男の子にとって、初めて恋する女の子は

天使、神聖にして侵すべからぬ存在なのに


ミシェルに限らず、夢想でその天使を抱きしめたいと

思ってしまうのは


生き物としての、連綿とあるプログラムのせい、で

本人の意識ではない(と、あの、ジーグムント・フロイドも

言っていたりする)。


だから、恋する男の子が不純なわけじゃない。



でも、それを説明できる大人は

少ないし、恥ずかしいから言わない(笑)



それで、悩める青少年にとって、役に立つのはお兄さんなんだけど。



ミシェルに居たのはお姉さんだから、そんな事を告白できよう筈もない。



「エッチ!」って言われるだけ(笑)。だもの、




お姉さんは女なので、男の子の心の構造など

理解できようもないから。



かわいい弟が、恥ずかしい夢想をするのは

ちょっと許しがたい(笑)のだろうし。





それで、かわいい、かわいいで

ミシェルの男としての自負は、自然に抑制されてしまって。



いつか、爆発するんだろう(笑)。



ふつう、そんな事があって


デジタリィに、少年は青年になるけど。




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