第288話 cecile

その、嬌声のひとりが


とてとてとて....と、ミシェルの方に歩いてきて。



「みしぇーるぅ?どしたのぉ」と


大きな声で言うので、ミシェルは恥ずかしくなって

顔が赤くなった。



「大きな声だすなよ、セシル。」と



呼ばれたその子は、可愛らしいビキニスタイルの水着。

まんまるで、ころころしてて。


髪も、栗色のショート・ボブ。



屈託無くよく笑う子。





ミシェルのクラスメートらしい。




「なによぉ、誰も見てやしないわよ。」と、

ちょっと乱暴な口を利くその子は、でも

ミシェルと親しいようで。




プールサイドを、とてとてとて。と

歩いてくるあたりは、仔犬のように愛らしい。



なんだけど、ミシェルは


めぐお姉さんを待ってるところなので「ちょっと、あっち行っててセシル」と


素っ気無い。





「どして?なんで?」と

セシルは、にこにこしながら。




それでも、なーんとなくミシェルの顔が怖いので(笑)



プールに飛び込んだ。






ゆらゆら、水面から

顔をのぞかせて、プールサイドのミシェルを見ると



後ろ手で、仔犬を追い払うように(笑)。





「なによ、せっかく。

偶然逢えてステキだな、って

思ったのになぁ。」とセシルは

水の中。





ミシェルの視線の彼方に、ステキなお姉さん(セシル視点で。)



それは、ミシェルの片思いの相手、めぐお姉さんだった(w)。





「ふーん.....。そっか。」と、セシルは、ミシェルの表情を見て


なーんとなく、つまんないな、と



背泳ぎで、その場を去った。







リサは、めぐと一緒にプールサイドに出てきて。



「あの子?セシルじゃない?」と。




「帰っちゃったの?」とも。



ミシェルは、ちょっとバツ悪そうに「偶然会ったんです。向こうも

友達が一緒だから、って。」と


追い払ったとは言えない(笑)。






めぐは「かわいい子。」と、にこにこ。





ミシェルは「そう....ですね。」と、否定できない、やさしい子。




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