第275話 Michelle

ほんの少し前の筈なのに


すごく遠い日だったような気がする


夏休みの始まる前の日。




それは、めぐの時間旅行のせいで

短い時間に、たくさんの経験をしてしまった


そのせいかもしれなくて。




「早く死んじゃうかも」(笑)

なんて、めぐは思ったり。





学校への坂道を登るのも

疲れてしまうような(笑)それは気のせいだ。




テニスコートのほうから


すぽーん、すぽん。と

テニスボールを打つ音が聞こえてきて。



「ああ、若いわぁ」と

すっかりおばあちゃんの気分の(笑)

めぐだったり。






テニス、ラリーを繰り返してた

うちのひとりが

打つのを止めて、駆け寄って来た。





「めぐー。元気?」と



長い髪を後ろでまとめた、スリムな

その女の子は



昨日、一緒だったリサ.....の

18歳の姿。





「ああ、おはよ、リサ。よかったね。」と

めぐは、21歳のリサに言うつもりで(笑)




ああ、そっか。


まだ、この日のリサは

大学進学のつもりだったんだ。





秋になって、おじいちゃんが天国に行って


それで、急に進学を止めるんだ。




それを知っているめぐは




「大学、行くよね」と言ってしまう。





リサは、テニスラケットを抱えて

爽やかな表情、で


「なに?へんなの、めぐ」と。




「あ、そうそう、ミシェルがね、

うちの高校へ来たいなんて言うんだ。


女子校だから無理なのに。変な子。」と

リサが言って、弟の、あのかわいい少年の

名前がミシェルだと言う事を

めぐは、なんとなく思い出した。




17歳で、あんなにかわいいんだもの。

14歳だったら、どんなに可愛いのかな、と



別に年下好みではないめぐにしても(笑)



可愛い男の子は、撫でなでしてあげたいと


思ったりするのも、自然な事で

やっぱり、女の子だから


可愛がるのは好きだもの。


愛でて、育てるのを

好むのは、女の子だけではなくて

生き物として、年少の者に

優しくして、群れ全体のためになる

行動をする。


正しい事、だし。




「ミシェルね、めぐが好きみたいなの。」と

リサは、どっきりする事を平気で言う。




めぐが、ちょっと、どきどきして

言葉に困っていると



「お姉ちゃんに憧れる年頃なのかな。

ま、わたしとしてはめぐが相手だったら

いいけど。

でも、めぐって年上が好きでしょ?」と

リサは、的確な観察(笑)。



さすがに女の子同士。

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