第261話 Phisical Model of motorcar

その、電車の停止訓練を見てた

めぐは、魔法で

物理モデル式を思考した。



つまり、難しいと思ってるリサは

未経験な事、重い電車の慣性、それと


ブレーキを操作してから、効き始めるまでの

タイムラグが掴めない、そういう事なのだろう。



ブレーキ総力をFとして

質量m、マイナスの加速度をaであれば

概算でF=maである。



停止距離をs、初速をv1、終速をv0とすると


(v2)2ー(v1)2=2asである。

v2は0である。


その結果得られるFに見合う減速度aを得た時の

F、それをブレーキ操作で得るために




操作してから、効き始める時間を逆算。



そして、ブレーキ力も一定ではないため


残り距離を見ながら目算でFを加減する、

それが修練である。




つまり、記憶の中にある減速パターンを

ブレーキハンドルの操作で作り出す、そういう作業で



記憶になければフィードフォワードで

見込み制御をする。




意識する減速力の変化を、統計モデルとして



物理モデル式にあるFに代入すればいい。


それだけの事だが、リサは


経験がない上、おじいちゃんへの贖罪の思いから

試験に落ちたくない。


おじいちゃんの喜ぶような、結果が欲しいと

言う、ちょっとした強迫観念に苛まされていて

そのせいで、夜も眠れない。





それが、判断を誤らせるし

感覚も鈍らせる。






「やっぱ、おじいちゃんに

会ってもらうといいのかな」と

つぶやいてしまっためぐ。




Naomiは「そうだね。おじいちゃん国鉄だったもん。教えてくれるよね、きっと」と

空想の事、と思って


めぐに返事。




れーみぃも「うん。リサ、おじいちゃんに

鉄道なんか嫌い、って言った事を

とても悔やんでたもの。おじいちゃんは

それで、気を落として

早く死んじゃった、って。

そう思い込んでたもの。」




「そんなことない、って

おじいちゃんに言って貰えればいいけど。」と

Naomiは言う。




「ほんと、そうだね」と

めぐ。



でも、めぐは空想ではなく

魔法で、そうしようと思って

ここに来たのだけれど。


その事は、誰にも解らない。









夕方で訓練が終わって、リサは

少し疲れた顔で、電車を車庫に仕舞った。




ゆっくり止めるのは、もう慣れて来たみたいで


止める少し前に、ブレーキを緩めて


惰性で転がし、止まったところで

ブレーキを掛ける。



そうすると衝撃がない。



そのために、転がる距離Sを

正しく見積もる必要がある。



S=v1t+1/2a(t)2 である。


初速に対して、減速度が適当な位置で

ブレーキを解放してもSの位置で止まるだろう、そういう物理モデル式である。



減速度は、F=μmgtanθだが

電車のそれは、とても小さい。




距離が短く、速度が

遅いと

見積もり誤差が少ないので、失敗しにくいのだ。

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