第221話  viking again



viking again



どちらかと言うと、デザートバイキングのほうが

めぐにとっては楽しいものだったりするけれど


でも、甘いものばかり食べる事もできない。

人間の体は微妙なバランスで成立しているので


甘いもの、つまり糖分だけを摂取しすぎないようにと


検出する仕組みを、進化の過程で

身につけてきている、そういう事。



でも、自然な環境で甘いものは少ないので



人工的な甘いものは、お菓子のように

人の嗜好になる訳である。




元々は、エネルギー源として

それを好むような傾向を身につけて来たと



進化生物学の論者たちはそう言う。





自然に、野原にある果実であるとか

そういうものを、好んで食べるように、

そういう生物は、エネルギーを多く得て、生き延びた。






そして、甘い果実は

それほど頻繁に見つかる訳でもないので



甘いものを食べると、体にエネルギーを備蓄する訳(笑)。




デザートバイキングを頑張っちゃうのもいいけれど


あとで、スタイルが気になる人も多いのはそんな理由である。





食べ過ぎて、あとで、痩せたいと言うのは

いかにも背反する、奇妙な行動であるが



それは、甘いものをどのくらい食べると過剰なのか?




と、それを知るセンサーの感度が鈍いせいであったりもする。





取り込まれた糖分が、吸収されてから

センサーが反応するまで


数時間を要する。




その間に、食べ物はどんどん

入ってきてしまう。




美味しく、美しく。


魅力的な食物は、つまり


作り手の技術的、経済的理由に


従う例が多い。





それを作る事で、作り手が

満足したり、生活の糧を得たり。




そんな理由で、人々の欲求を刺激する

危険な存在である(笑)。





食べ物はまだ罪が少ないが。



大方の経済活動は


そんなふうに、売手の理由で

作られているが

刺激的な半面、欲求を発生する


悩ましい存在でもある(笑)。








生き物である以上、欲求があるのは必然であるが。






欲求があって充足する。




そこに喜びがある。





原始的には、衣食住のようなものがあり

それを

転換して、誰かの為に尽くす事、なども


つまりは、マイ・ドメインの誰かを

助けて



結果としてマイ・ドメインの

、例えば社会のようなものもの存続を

計る行為なので



それを美徳と思う事が



べつに、高尚である訳でもない。







人の喜びは、生物的である。


それでいいのである。





神や天使が高尚、そう思うのは自由だが

人の喜びが低俗な訳でもない。



人間型の心を持っているとすれば

高尚な喜びも、そうでない喜びも


心で起こっているいちばん原始的な喜びは


報酬を得られた、と言う


喜び、



だ。







めぐは、そんな理屈を考えるでもなく(笑)


美味しいものを喜んで食べている。



メロン、オレンジ、くわい、グレープ。

マスカット。




チーズケーキ、レア、ベークト。



ショートケーキ、モンブラン、エクレア。




シュークリーム。




ヨーグルト、アップルパイ。




いろいろ(笑)。




おばあちゃんも、ミルフィーユとかを

頂いていたり(笑)。





楽しいリゾート、そろそろ夕方になって来た。



telephone line



「もう少し遊んでいこうかな」なんて

めぐは、おなかいっぱいになって、幸せだ(笑)。






「そうね、ここの館長さんも

ずっと居ていい、って言ってるし。」とは、おばあちゃん。



夏休みのリゾートって、そんなに暇なんだろうか(笑)と

思うけれど


国の施設だったこういうところは、突然、偉い人が

泊まりに来ても良いように、いくつか部屋が空けてあるのだそうだ。




もっとも、本当に来る事は稀なので

本当に来た時に、部屋を空けてくれるような

知り合いの人とかなら、泊めてもらえたりする。



そういうお部屋なので、408号室は特別らしい。




ホテルだけじゃなくて、鉄道や飛行機なんかに

混んでいても空席があったりするのと同じ理由、らしい。




「それだけ、めぐのマジックが面白そうだったって事ね」とおばあちゃんは

にこにこ。




魔術じゃなくて、魔法なんだから当然なんだけど(笑)。






お部屋に戻って寛いでるおばあちゃんとめぐに、外線からお電話ですと

フロントからの連絡。




電話の相手は、Megのおばあちゃん。



めぐのおばあちゃんに、お話。





例によって、JKみたいに賑やかなの(笑)。




年を取ると、だんだん無邪気になってかわいい会話になるのは

家族ももう手を離れて、母でも主婦でもなくなって


社会・家族、なんて言うドメインから解放されて



ひとりの人間に戻っていくから、なんだろうか。






でも、電話の内容は割りとシーリアスで


「そう....それは...困ったわねぇ。もう、本当なら帰っていたとこだったの。」と


おばあちゃんの言葉の切れ端に、めぐは、ちょっと緊張を覚えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る