第201話  土着と浮遊



土着と浮遊



しかし、めぐのような

真摯に恋愛するひとは

この時代でも少なくなっていて


心の愛を求めると言うより

生物学的なパートナーを求めるだけ、そんな人間多数であったのは

事実である。


にゃご、彼が元々人間で


そうした風潮のせいで、母親が愛を見失い

彼は、そのせいで悪魔になってしまった事、などからも

それとわかる。



もちろん彼は、天使、クリスタさんのせいで


救われたのだけれども。








「お話は解りました」と、

めぐのおばあちゃんは、そう告げて



「めぐは、そのせいで傷ついています。

いまどきの女の子だって、心は愛を持っているんですね。

大人の女のように、遊びで恋なんてできない。



その事を、大人は心すべきです。



ルーフィさん、めぐは自分の時空間に帰りたがっています。



坊やの事をお願いできますか?」と



めぐのおばあちゃんは、ルーフィに

そう告げた。





ルーフィは、わかりました、と言い「でも、僕はめぐちゃんを振った訳ではなくて。もう少し時間がほしい、そう思っているだけなんです」と、ルーフィは辛そうに言った。





「それはどういう事?Megに恋を打ち明けたのはどういうお考えなの?」と


こんどはMeg

のおばあちゃんが、その気持ちを気にする(笑)。



おばあちゃんとはいえ

女だな、と


ルーフィは心で苦笑い。




「その時は、めぐちゃんに出逢ってもいないのです。


その時は、確かに彼女を恋しいと思っていました。



それは、いまでも変わっていません。




でも、Megとめぐちゃんは、同じひとです。


歳が三つ違いの。




そんな事が、ふつう、有り得ないでしょう?




どちらかを選べっていっても、無理に

選ぶと


どちらかが傷ついてしまう。





そんな事できないから、とりあえず


めぐちゃんがもう少し大人になるまで待って、と


僕はそう言ったつもりなのです。





ルーフィは、理論的だ。




確かに、めぐの求めは性急に過ぎる。



若さ故の事だろうから


もう少し時間を置いたほうが、めぐ自身のためになる。




そう、ルーフィは思っている。






みんなが、優しい。



ルーフィはそう思う。




昨今は、人間の家族制度を

大切にする人が少ないのに。


稀有な人達だ。





勿論、それは


おばあちゃんたちの


愛があったから、なんだろうけれど。






どんな世の中だって、愛を守ろうとすれば

、それはできる。





それをしない人々は


結局、愛される喜びをよく知らない人達なのであるから



たとえば、おばあちゃんたちが

こんなに愛情のある家庭だったら、誰だって

それを大切にしたいと思う。





でも、たとえばこの国では

戦があった時など、愛を守ろうとすると

国から迫害されたり。



そんな時、愛を守るには覚悟が必要だったのに


生き延びてきたおばあちゃんたち。


なので、めぐたちも



それを受け継いでいるのだろう。





いまは、恋愛というより


生物学的な干渉を楽しむ人達が増えている

のだけれど、。



いかにも伝統的な彼女たちは



確かに、人間である。



それなので、おばあちゃんたちも

魔法持ちながら

人間的に土着しているのであるし。




その言葉には、重みがあった。



神々の、魔法使いの黄昏



ふたりのおばあちゃんは、とりあえず

結論を急ぐのは止めよう、そう思った。


ふたりのマーガレット、孫娘たちが

この先どう考えるかは、わからないから。



当事者はあくまで彼女たちで

旧い、おばあちゃんの感覚で物事を判断しない方がいい、そう思った。


愛は、その人にしかわからない。


客観的に見て、不条理なものでも

本人が幸せならそれでいい。


そういうものである。




理由は簡単、「愛しい」と思うキッカケは

その人の記憶にあり、遺伝的に継承され...そして、考え方で

それは変わっていく。




ルーフィの言うように、恋すると言う気持を楽しむだけで

生きる、と言う重荷を背負わないでいいのなら


確かにそれは極楽なのかもしれないし、それが

魔法によって得られるのであれば、恋の形も変わってくるだろう。



すぐに変わる訳じゃないけれど。




魔法使いたちの生き様が、幾世代も経て変化していった時

それが進化と呼ばれるのだろう。



いまは、まだ...どうなるか分からない。




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