第112話  再会


再会



松林で、ルーフィは

モペッドに乗っていた。


作戦(笑)が上手く行ったかどうか

わからないけど。


でも、待っていたら

めぐが出てきて「ルーフィさん!」


その、元気な声に

ルーフィもびっくりして、笑った。



不思議に笑顔になった。


かわいい声ってそんな効果があるのかな。


ルーフィは、ふと

そんな事を思う。



ひよこの、おかあさんは

ひよこのかわいい声で、子供を

可愛がる。


そんな、動物行動学者の説明を

思い出す。



高い、愛らしい声には

そんな効果があるらしい。




「人間もそうかな」なんて

ルーフィはひとりごと。




「戻ってきてたんですね。」と


めぐは、びっくりして、喜んだ。



ルーフィがいなくなっちゃうと

思って。


それで、あわてて飛び立ったせいで


絵本に、閉じ込められちゃったり。


修業中の魔法使いって、そんなもの。




さむが、とことこ、と歩いて来て。



「ああ、ありがとうさむ。おかげさまで助かった」と

ルーフィはにこにこ。



さむも、笑っているかのように

しっぽを1回振った。





「さむさん、さっきはごめんねえ」と

めぐが乗っかっちゃったので。




そういうと、ルーフィは



「何があったの?」と。



そういえば、3次元に実体化して

出て来た事をすっかり忘れていた。



自然だったから。




「どうやって戻ったの?」と

ルーフィは爽やかな海風に

髪をなびかせて。


もう、そろそろ夕方だ。



「絵本がね、ゆれたの。すごく。

それで怖くなって。出たい、って思ったら」




と、めぐは、なんとなく

思い出すとすごい事だった、みたいな表情で。





「それで?魔法が。すごい才能だね。


魔法って言うより超能力かも」


と、ルーフィは笑った。



でも、その魔法を使えるのは、

まだ自由じゃなくて。




「ルーフィさんのところへ行こうと

思ったんだけど、上手くいかなくて。」


と、めぐはちょっと恥ずかしそうに。




「それは大丈夫。魔法陣を書いて

ゆきさきを決めれば。」と、ルーフィ。





もともと、魔法使いと言っても


誰でもが使えるものでもなくて。


もともと持っている才能を、魔法が

伸ばしてくれる。

そんな感じのものなのだ。


歴史のある国には、大抵

そういう魔法の類が幾つか、あったりする。



そんな中で、イギリス人のルーフィと


違う国のめぐが、同じ魔法を使えるのは

よく考えると、ちょっと不思議だと

ルーフィは思う。




「でも、わんこさんのおかげで

ほんとにたすかった」と

めぐが、にこにこして


さむを撫でなで。



すると、さむは立ち上がって


握手をしたので、めぐはびっくり

喜んだ(笑)。



だって、立ち上がると

めぐより大きいし、握手のポーズは

まるで「お手」をするみたいだったので。




「僕の魔法」と、ルーフィ。



でも、人に見られても魔法が消えないのは


やっぱりめぐは魔法使いなんだな。


そう、ルーフィは思ったり。



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