第77話 ニュートリノ通信機


「これはね、未来から持ってきた量子コンピュータさ。

ニュートリノ通信を併用して、量子テレポーティングで

高速超通信ができる。」


ルーフィはにこにこしながら。


よく分からないけど(笑)。



「光速を超える、と言う事は

アルバート・アインシュタインの相対性理論だと

時間が逆転するのさ」



と、ルーフィはにこにこ。


そんなバカな(笑)と、わたしは思った。


理論的に、計算でそうだとしても。


生物は代謝で生きているから、それを逆転はできないと思うけど....。



「そうだよね。でも、通信だったらできそうに思わない?データの入れ替えだもん。」

と、ルーフィは言った。そして、その量子コンピュータに

データを送った。



「何をしたの?」と、わたしは????(笑)。




「この中の、メモリエリアからね。もう1台の量子コンピュータに

通信でデータを送ったのさ。もし、光速を超えていれば....。」



転送時刻が逆になっているはず。



ルーフィはそう言った。



「それで、どうするのよ。」と、わたし。



「過去の自分に通信するのさ。」


と、ルーフィは楽しそうに言った。





魔法・量子力学



「それでどうなるの?」と、わたしは

ルーフィに答えを求めた。



ルーフィは、量子コンピューターの

データを見ている。


「僅かに時間が戻るようだね。

データの上では。」



「よくわかんないよ。」と、わたし。




ルーフィは、にこにこして

「ほら、インターネットだって

地球の裏側まで、情報を送るけど

あれは、順繰りに送ってないでしょ。


伝わってるだけで。


暗いとこで、ライト点けると

遠くが明るくなるけど。


点けたり消したりすると、一瞬で

向こうでも同じ事が起こる。」




「あたりまえでしょ」と、わたし。




ルーフィは、にこにこ。



「そう、それを符号にすれば光通信になるけど、量子でするのが

これ、なの。



まあ、大昔に送るのは無理だろうけど。」









魔法・4次元



「まあ、記憶ってのも

これに似てるよね。



青空を見て、気持ちいいって

思う人は多いけど


人によって違う。



青空ハイキングで迷子になったら

淋しい気持ちを思い出すかもね(笑)。




そういうのを、一瞬で連想するのはさ、


これに似てるでしょ?



遠くの事象に、一瞬で。」






と、ルーフィは

楽しそうに言った。



「僕らの時間旅行も、これに似てるね。

元々の次元から、どこかの時間に

リンクする。



時間が伸び縮みするって言うけど

スピードが速ければ、縮むもん。

気分的に。



量子コンピューターはさ、科学で

魔法を実現してるんだね。

テレパシーの代わりに、携帯電話が出来たように」




ルーフィは、楽しそうに科学の話をした。




「いつか、わたしたちみたいに

時間旅行する機械が出来るの??」


と、わたしは聞いてみた。




「当分出来ないと思うけど。

エネルギー保存法則、から見ても。

ただ、通信ならできる事は

今、証明されたね(笑)」




そう言っている間に、めぐは

クリスタさんと一緒に


今度は、書架の整理。


返却本をカードに載せて、

元々あったところに戻す、地味だけど大切な仕事。




「本の背中に、分類コードがあるでしょ?その番号順に書架があるの。


空いているところが、本を戻す所なのね。」




そう言いながら、めぐは

なんとなく、これからの旅の事を

空想していた。


なんたって、時間旅行はじめてだもん。


天使さんがずっと護ってくれていて。


それで、魔法を使えるように

守護神のまま、離れてくれた。



・・・・・でも、そうすると

旅行先では、護られていないのね。



ちょっと、そのことに不安を感じためぐだった。



向こう、魔物はいないのだろうけど。




ルーフィさん、守ってね!。




そんなふうに思った。






「本の返却って、借りた人がなさるのかと思っていました。」と

クリスタさんは、常識的な事を言う。


「そう、学校の図書館は今でもそうですね。貸し出しカード書いて

それを、本のカードと入れ替えて。

そのあと、本を自分で返して。

この図書館も、前はそうだったんだけど、本が増えちゃって

カード置き場が混雑しちゃうし、返す所がまちまち、になっちゃって。」



分類コードの下3桁は、書架の番地になっていて

番号順に左から並ぶようになっている。


天使さんと絵本



書架を整理しながらも、時間は

経過する。


「はい。図書館の仕事はだいたい、これで全部。おつかれさまでしたー。」と、めぐはにこにこ。


「ありがとうございます。あの、絵本の読み聞かせって、さっき聞いた・・。」


と、クリスタさんは覚えてた。



司書主任さんが「声がいいから」と

推薦してくれた、児童図書館の


ちいさな子へのサービス。



絵本を、読んであげたりするのだけど



お母さんが、本を探す間とかに

ちいさな子が、退屈しないように、って

考えたサービス。




3階のシアターで、子供向けの

映画を見せたり。



児童福祉のような事もしていたのは

もちろん、公共サービスという

側面もある。



「あ、じゃ。行ってみましょうか。

1階だもん」と、めぐは

カートを押して、カウンターへ。



主任さんはいなかったけど

司書さんの仲間に「ちょっと、児童コーナー見てくるね」と言って。



うん。と、カウンターの仲間がうなづいて。




児童コーナーへ向かう。





そこには、以前と同じように


チャイルドマインダーが

ちいさな子と一緒に

本を読んでいたり。




「楽しそう」クリスタさんは

にこにこ。


天使さんだから、幸せそうな

ひとを見てるのが好きなのかしら。。



そんなふうに、クリスタさんを見て


めぐは思った。




オープンスペースの、その場所は


児童図書館の、奥にある。




靴を脱いで、子供たちが


転がってもいいように。

クッションフロアになっていて。



大きな、ぞうさんの形のクッションとか、キリンさんのとか。


子供達が喜んで、じゃれている。




クリスタさんとめぐが、コーナーに入ると



ひとりの子が、絵本を持って

クリスタさんに近づいて。


じっと、彼女を見上げた。



「ご本、読むの?」と、

クリスタさんは、綺麗な声で言う。


その子は、まんまるの笑顔で


うなづいた。



「はい。それでは」と


クリスタさんは、フロアーの隅のソファーに腰掛けて。


ひざに、その子を乗せて。



「ゆきのひとひら」と言う

その絵本を、読みはじめました。



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